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「それでもテメェは親か!」93才母を罵った60代女性の「自宅介護の限界」

オバ記者こと野原広子さん

「オバ記者」こと野原広子さん

 実は、母親が施設に入るのは今回が初めてではない。2020年、ちょうど同じ時期に極寒のわが家で倒れ、ひとり暮らしは無理という理由でリハビリ付きの施設にお預けしたんだけど、そこで心筋梗塞と意識障害を起こして大病院に運ばれ、入院すること2回。

 コロナ禍で直接のお見舞いが不可能のまま2か月入院したら、母ちゃんの容体はどんどん悪くなって、ほとんど口も利かず、寝たきりに。担当医も「今後は家で看るのはいい選択だと思いますよ」とおっしゃって、自宅に連れ帰ってきたのが8月2日。そのときは、ぼんやりと私の顔を見ているだけの母ちゃんに、せめて「ヒロコ!」と言ってほしいと、そう願っていたの。だから食事にも手をかけたし、ヘルパーさんは絶えず声かけをしてくれた。

 それと医師が処方してくれた薬もよく効いたのね。母親は表情がどんどん豊かになり、声をあげて笑ったり、冗談を言ったり。体だけじゃない。従来のキャラまで戻ってきたのは心からうれしかった。腸の血管の病気なので、シモの世話は毎日のことだけど、最初はさほど気にならなかったの。

「どこでもそう。娘さんのことはよく言わない」

 風向きが変わってきたのは、3か月を過ぎたあたりから。母親風を吹かせて「ほれ、玄関の電気、消せ」「ダメだ。酢の物はもっと酢、利かせろ」と言うならまだいい。「ン!」とアゴで玄関の方をしゃくるかと思えば、「酢!」。指先だけ動かして私に指令を出すこともある。

 ついさっきも、トイレに間に合わずに大惨事を起こしたのを片付けたばかりだけど、胸に込み上げてくるわけ。「あんた、そんなにエラそうな態度を私にとっていいわけ?」と。もちろん母親は好きで漏らしているのではないし、本人がいちばん引け目に思っているはずだ。だから責めるようなことは絶対に言うまいと心に決めている。「ちょっと待ってろ~! 動くな~!」と、それだけよ。だけど、こういう“道徳心”って、嘘なんだよね。大便のニオイや見た目、不快感は蓄積すると別のことで噴火するわけ。

「施設に行かない」と言う母親に、「私は東京に帰るけど、そうしたらどうするんだよ」と聞くと、「自分でご飯ぐらい作れっぺな」と言う。それができるなら、なんで私にやらせんだよ。さあ、いますぐご飯の用意、してみやがれ。

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