中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

「引っ越す必要ある?」フルリモート勤務なのに転勤を言い渡された40代会社員の困惑

A氏が毎朝楽しんでいる、唐津の海での「SUP」

A氏が毎朝楽しんでいる、唐津の海での「SUP」

 現在は会社もリモートワークを導入していますが、今後、完全出社勤務スタイルに戻る可能性はあるでしょう。また、緊急対応で出社が必要な時、さすがに東京と唐津は遠過ぎる。そういった意味で本社配属になった以上、常識的に通勤できる場所に住まなくてはならない、という会社のルールがあるのかもしれません。

 しかし、A氏はどこか釈然としないようで、この時送別会に一緒に参加した地元企業のB氏にこう持ち掛けていました。B氏も単身赴任で、会社のオフィスと同じ建物に寝室・風呂・トイレがあって、そこに住んでいます。

「Bさん、オレ、そこに住ませてもらえませんか?」

 さすがにそれは無理な注文ですが、それだけ唐津に残りたいという気持ちが強いことは分かりました。

リモートワークならどこでも仕事ができるのだが(イメージ)

リモートワークならどこでも仕事ができるのだが(イメージ)

 コロナで一部ホワイトカラーにはすっかり定着したリモートワークですが、この働き方は「異動」「転勤」の概念を変えてしまったのかもしれません。2年前までは、異動・転勤となったらそのオフィスに通いやすい場所に引っ越す、というのが常識的な働き方でした。出社勤務が当たり前の時代、定期的に朝礼やら部署会などに参加するためにも、それは合理的な考えだったのです。

 ちなみに現在、一部企業は、国内であれば全国どこでも働ける制度を導入していますが、こうした動きは他の企業にも広がるのでしょうか。

 リモートにすっかり慣れてしまったA氏は今回の異動・転勤に困惑しています。これから同氏はいかにしてこの状況に対応していくのか。一つの働き方として注視したいと思います。

【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『炎上するバカさせるバカ 負のネット言論史』(小学館新書)。

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