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出井伸之さん最後のロングインタビュー「ものづくり神話から脱却すれば日本経済は甦る」

2022年6月7日 13:30 週刊ポスト

著書『人生の経営』では盛田昭夫さんとの思い出も詳細に語られている
著書『人生の経営』では盛田昭夫さんとの思い出も詳細に語られている

生き延びる道は“二重戦略”

〈出井は中国・清華大学の顧問委員を務めている。出井の他、イーロン・マスク(テスラCEO)、ティム・クック(アップルCEO)、スティーブン・シュワルツマン(ブラックストーンCEO)など錚々たる人物が名を連ねる。彼らは定期的に集まっては、大学の方向性や取り組むべき分野、また必要な教授陣をどう確保するかと言った領域にまで議論をする。だから、清華大学の教授陣の給与は能力によって全く異なる。就労年次によって給与が決まる日本の多くの大学との違いだ。〉

 常に競争があって、ドラスティックに変化しようとする中国と比べると日本は寝てるんじゃないかとも思ってしまうほど。しかし、最近は日本には日本のよさがあることも感じています。

 慶應大学環境情報学部教授、安宅和人さんは、著書『シン・ニホン』のなかで日本の中に『風の谷のナウシカ』の「風の谷」のように、これからの人間が都会から離れ自然と共存し豊かな生活を営む場所をつくろうと言っていますが、僕は日本が世界にとっての「風の谷」になればいいと思っているんです。勝ち負けや成長より平和と環境と伝統を大切にする場所になれば、世界中から、特にアジアから人々が日本に来たがる。そういう国を目指せばいいと。

 そして、一方で稼ぐのは国内よりもアジア。日本が成長するチャンスは、多くの国が成長し世界経済の中心になるアジアにどうコミットするかにかかっていると思う。これだけ洗練された製造業の知識と技術があれば、必ずアジアで求められるし、日本を成長させてくれる巨大なエンジンになるんじゃないかと思います。日本人はグローバル化というと「外国人の下で働く」とイメージしますが、そうじゃない。外国に行って企業を買収し、トップを取る。それこそがグローバル化です。

 つまり、守りの国内と攻めの国外、日本が生き延びるチャンスは“二重戦略”にあるのではないかということです。“二重行政”となるとネガティブに捉えられるが、そうではなく、ポジティブに内と外を使い分ける。

 そのためにも、若い世代はアジアと日本の歴史を学び、歴史にこうべを垂れ謙虚になるべきじゃないでしょうか。また、そうしたものを教えるのが私の役割だとも思っている。

 私は「イデイアカデミー」というYouTubeチャンネルで、「過去を知ってこそ未来はつくれる!」と伝えていこうと思っています。これはベンチャーの育成と大企業の変革を行なうエコシステムをつくり社会運動を起こす「アドベンチャービレッジ」の活動で、僕の最後の仕事です。

 可能性はありますよ、日本には。確かに今は冬の時代かもしれないけども、春は来ますよ、必ず。

【プロフィール】
出井伸之(いでい・のぶゆき)/1937年生まれ、東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、1960年にソニー入社、外国部に配属。1962年スイスに留学。1968年フランスに赴任、ソニーフランス設立に従事。1979年オーディオ事業本部長、1988年ホームビデオ事業本部長を経て1995年に代表取締役社長に就任。2005年に会長兼グループCEO退任後、2006年にクオンタムリープ株式会社を設立。2022年3月に最後の著書となる『人生の経営』(小学館新書)を上梓。2022年6月2日に逝去。

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