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日本企業が円安メリットを享受するための「生産拠点の国内回帰」に踏み切れないワケ

 もっとも、そうなると、アメリカ並みの物価高と円安のダブルパンチは避けられない。

 もし、あと2年間、世界的に8%のインフレが続いて、1ドル=180円まで円安が進むと、現在1斤100円の食パンなら、2026年には1斤210円になる計算だ。

「そこでもし、日本の膨大な借金に目をつけられて日本国債が格下げでもされて、トルコのような年率40%超のハイパーインフレと円安に見舞われたら、食パン1斤528円にまで跳ね上がる可能性まで考えられます」

「1ドル=180円の未来」はあくまでも最悪のシナリオであり、現実的な未来予想図ではない。

 だが万が一にも、それほどの物価上昇が起きれば、ガソリンや電気、食料品といった生活必需品以外の支出は極限まで抑えられる。

「国民が生活で手一杯になってしまうと、旅行や外食、美容など、国内のサービスにお金を使わなくなり、輸出企業はうるおっても、国内企業はダメージを受けます。そうなれば、賃金を上げるのはますます難しくなる。結果的に悪循環に陥る可能性も高まります」(飯田さん)

「ジャパンブランド」は消え失せた。いまの「ただ、安いだけの日本」は、かつての華やかな姿を取り戻す手立てすら失ってしまったのかもしれない。

※女性セブン2022年11月3日号

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