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店員と客の適切な距離感の難しさ どんなに通い詰めても「絶対に店員と仲良くなりたくない人」の本音

常連扱いすると嫌がる客がいる一方で、常連扱いしないと怒る客もいるという(イメージ)

常連扱いすると嫌がる客がいる一方で、常連扱いしないと怒る客もいるという(イメージ)

 会社経営のFさん(40代/男性)もSさんと感覚は近い。

「店員と知り合いになってしまうと、心からくつろげないんですよね。初めて入った店なら何も気にしないのに、店員が知り合いだと『今は混んでるから面倒なメニューはやめよう』とか、『今日は客が少ないから、もう少し飲んでいこう』とか、なんだかんだ気を遣わずにはいられない性格なんです。

 近所に美味しい寿司屋があるんですが、大将が常連としばしば話し込んでいて、なかなか握ってもらえないことがあります。こっちは腹ペコで足を運んでいるのに、大将のおしゃべりが一段落するのを待っているような状態。ああいう光景を見ると、時と場合によっては『常連って、他のお客さんの迷惑になるリスクがあるな』と思ってしまう。どれだけ料理が美味しくても、常連客とのお喋りで仕事の手が止まるような店はイヤですし、周りの客に迷惑をかける客にもなりたくないです」(Fさん)

 言われ放題の飲食店員たちだが、彼らにも当然言い分はある。東京・池袋のバーで働くAさん(30代/男性)は言う。

「常連扱いすると嫌がる客がいる一方で、常連扱いしないと怒る客もいます。それこそ2~3回しか来ていないのに『いつもの』と注文する人もいますよ。常連扱いされるのがイヤだったり、話しかけられたりするのがイヤなお客さんがいることは、飲食店関係者は知っています。ただ、その見極めは本当に難しい。我々としては『色々なお店に行って、気に入る店を見つけて下さい』としか言いようがありません」(Aさん)

 もちろん、店側の人間も決して悪気があって話しかけているはずはない。客によって適切な距離感が異なる難しさ、とでも言うべきか。(了)

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