台湾やアメリカで中国スパイの被害が多発(左から頼清徳・台湾総統、トランプ米大統領/Getty Images)
日本に対して中国は、機幅広くスパイ活動を仕掛けていると言われる。さらには、中東危機や迫り来る台湾有事に向けた動きにも中国スパイが絡んでいるという。世界各国での工作について、キヤノングローバル戦略研究所上席研究員兼中国研究センター長の峯村健司氏が明かす。【前後編の前編】
台湾の選挙結果を左右する中国による「浸透工作」
台湾内部の世論工作などを通じて無傷で台湾を奪取する中国の「新型統一戦争シナリオ」はすでに中盤後期を迎えている。
日本の超党派議連で台湾との関係強化を目指す「日華議員懇談会」会長で、高市首相側近の古屋圭司氏に対し、中国は入国禁止などの制裁を科した。台湾有事に至るフェーズが1~2段階は進んだと見るべきだ。今後も国会議員が対日制裁の対象になる可能性がある。
台湾政府の発表によると、2025年の中国による台湾政府機関へのサイバー攻撃は1日280万件に達し、SNSへのフェイク投稿は150万件超が確認された。
若者を標的に、インフルエンサーなどを利用した中国による「浸透工作」は、台湾の選挙結果を左右するまでになっている。
2024年1月の台湾総統選では民進党の頼清徳氏が当選したが、行政府立法委員選では“親中路線”の国民党が第1党となった。その結果について、台湾の安全保障分野の高官らは私に「国民党ではなくTikTokに負けた」などと語っていた。
台湾では中国による世論工作や政治介入に対抗するため2020年に「反浸透法」を施行したが、それでもなお中国の浸透工作は激しさを増し、スパイ摘発が相次いでいる。
