骨壺に収める遺骨の量は、地域によって違いがある(イメージ)
厚生労働省が2月26日に公表した2025年の人口動態統計によれば、2025年に亡くなった人の数は160万5654人。人が亡くなれば、ほとんどは火葬、遺骨という道をたどるが、火葬や埋葬、お墓の習慣は地域によって異なるため、思わぬトラブルが発生することがある。今回は、葬儀業界歴約30年、1級葬祭ディレクターの赤城啓昭氏が、火葬と遺骨をめぐって、ありがちなトラブルとその対処方法を解説する。【前後編の前編】
骨壺がお墓に入らない
大阪出身の女性・Aさん(55歳/介護職)が結婚を機に東京へ住まいを移したのは、30年前のことでした。東京では長らく介護業界で働いていたAさん。3年前に大阪にいる母の持病が悪化し、偶然自分の勤める介護施設に空きがあったため、引き取ることにしました。
そして今年、母が死亡。代々の墓は大阪にありましたが、親戚は少なく母の関係者もほとんど亡くなっていたので、東京で葬儀と火葬をすることにしました。火葬の当日、棺を火葬炉に収めて待つこと1時間。ちなみに、標準体型の日本人の場合、焼き終えるまでの所要時間はだいたい1時間~1時間半ほどです。
火葬が終わるとアナウンスが流れ、火葬炉の扉が再び開けられます。炉にあるのは、熱を帯びた遺骨だけ。そのあと、遺骨を骨壺に収める作業が始まりました。拾骨の作法に従い、遺族が順番に2人1組になって一片の遺骨をそれぞれの箸でつまみ、骨壺の中に入れていきます。箸で持てない遺骨のかけらは、火葬場の職員が全て集め骨壺に収めてくれました。
それから四十九日後、Aさんは納骨のため、遺骨を持参して大阪のお墓を訪れましたが、お墓の下にある、「カロート」と呼ばれる骨壺の格納スペースを見たAさんは絶句しました。カロートには、すでに先祖の骨壺がいくつか収められているのですが、どれもAさんの母の骨壺よりずっと小さいのです。Aさんの母の骨壺は直径20cmほどで、両手で抱え込まないといけないサイズ。一方先祖の骨壺はどれもその半分以下で、手のひらに載せられるほどなのです。なんとか母の骨壺を収めましたが、Aさんの疑問は消えません。
「同じ火葬をしたはずなのに、なんでこんなに骨壺の大きさが違うの?」
実は、関東と関西で遺骨を骨壺に収める作法(拾骨)は違います。基本的に関東は遺骨を「全て」骨壺に収めるため、骨壺は直径20cm前後と大きくなります。ただ、関西においては、火葬場から持ち帰る遺骨は「一部」のみ。残りは火葬場に残してくることが多く、直径8~10 cmほどのコンパクトな骨壺で十分なのです。そうした習慣の違いがカロートの広さにも影響を与え、関西の方が狭い傾向があるというわけです。
