家計

「足りなければ働いて稼げばいい」はずが… 貯金ゼロを続けた60代女性記者を襲った「大病」の試練

「これまでの人生、常に貯金ゼロ」と公言してきた「オバ記者」こと野原広子さん

「これまでの人生、常に貯金ゼロ」と公言してきた「オバ記者」こと野原広子さん

 金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査2022年」によると、50代の2人以上世帯の平均貯蓄額は1253万円だという。だが、「50才どころか、これまでの人生、常に貯金ゼロ」と公言してきたのが女性セブンの名物記者「オバ記者」こと野原広子さん(66才)。なぜ貯金をしない、あるいはできなかったのか。

「子供の頃から貧乏だから、お金があったら急いで使わないと誰かに取られちゃうという恐怖の中で生きてきたわけ。だからあったら全部使っちゃう習慣が染みついているの」と、自己分析してくれた野原さん。さらにこう続ける。

「貯金って、もともとあったお金をなくした経験がある人がするんだと思う。一度なくして惨めな思いをしたから、二度とそうなりたくないって思いがあるんじゃないかな。私は子供の頃からお金がないのが当たり前だから、不安もない。あったとしても、それを解消するために、やりたいことをがまんしてまでお金を貯めてもねえ……。だから節約らしい節約もしたことがないの」(野原さん・以下同)

 オバ節炸裂の独自理論が小気味よいが、誰しもがその境地には辿り着けない。お金がなければ不安になるものだが……。

「そうかな……。そういえば、証券会社で働く男性と話したとき、“私は貯金がない”って言ったら、“そりゃ野原さん、自分に自信があるんですよ”って言われたことがある。確かに、食べていく自信はずっとあったかも。20~30代の頃は、『赤貧洗うがごとし』ってこういうことねって生活だったけど、食べてはいけた」

消費者金融に毎月10万円以上返済

 その赤貧時代をどう乗り越えたのだろうか。

「本当にきつかったのは、31才で事務所を借りて編集プロダクションを始めてから。原稿料の不払いが続いて、事務所の家賃から自分の生活費、すべてが滞って……。それでついに消費者金融に手を出したわけ。さらに、つらい現実を忘れるために麻雀にハマったのが運の尽き。借金は膨れ上がって、消費者金融とは約20年間、52才までのつきあいに……。毎月10万円以上返済していたっけ」

 返しては借りるの繰り返しだったため、借金総額は覚えていないというが、当時の消費者金融の金利は29.2%。後に過払い金請求をしたところ680万円が戻ってきたというから、総額はかなり大きかったようだ。それでもやっていけたのは、お金が足りなければ、体を張って稼げばいいと思っていたから。18才から住み込みの仕事を始め、ライターになってからも本業のかたわら、アルバイトを続けた。40代以降も、早朝の弁当詰めからビジネスホテルのベッドメイクなど、なんでもやって楽しかったという。

 50才貯金ゼロでも、働く甲斐性があるから大丈夫だったわけだ──ところが、60代に入ってから、この“自信”が試される出来事が襲いかかる。

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