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「明るい未経験男性」としてYouTubeで人気の芸人ぐんぴぃが覚えた疎外感「結局はバカにされる存在なのかな」

お笑いコンビ「春とヒコーキ」のぐんぴぃ(写真=右/事務所提供)

お笑いコンビ「春とヒコーキ」のぐんぴぃ(写真=右/事務所提供)

 日本の男性の「未経験率」が上昇しているという。東京大学特任研究員の坂元晴香さんらが2022年7月に20~49才の男女8000人に行ったオンライン調査では、20代女性の未経験率が29.7%である一方、男性は43%が性交渉の体験を持たないという結果になっている。

 スウェーデン・カロリンスカ研究所の医師である上田ピーターさんの専門は主に糖尿病や循環器疾患の疫学研究だが、2017年に英BBCで日本人男性の未経験率が驚異的に高いとのニュースが報じられたのを見て、「日本独自の未経験男性」を意味する「童貞」に興味を持ったという。

 実際に日本の童貞たちに接触し、フィールドワークも実施しているピーターさんは「彼らの中には童貞であることを自称しながら、明るく笑える存在であることを両立させている男性がいて、欧米ではまずありえないと驚いた」と分析する。ピーターさんを驚愕させ、「明るく笑える日本の童貞の象徴」と太鼓判を押させたのがお笑いコンビ「春とヒコーキ」のぐんぴぃ(33才)だ。

 ぐんぴぃは2019年4月に偶然ABEMAニュースの街頭インタビューで性体験の有無を問われた際、「バキバキ童貞です!」と答え、その様子がネットで拡散。予想外のブレークを果たし、YouTube「バキ童チャンネル」はフォロワーが76万人を超える。

バキ童宣言を救いにする若い男性たち

 ピーターさんが「明るく楽しい」と評した日本の童貞だが、それはあくまでも近年の状況であり、以前は不安定な仕事と家庭問題に苦しみ、周囲ともうまくコミュニケーションが取れない「中年童貞」のような存在が大多数を占めていた。ぐんぴぃも昔の童貞はもっと生きづらかったのではないかと話す。

「それが少し変わってきたのは、伊集院光さんがラジオや著書で童貞やモテないことを巧みな話芸でトークするようになってから。伊集院さんは“童貞トーク”の先駆者だと思っていますし、ぼくもそのおかげで救われたことがたくさんありました。

 いまは晩婚化しているうえ、オタク文化も受け入れられやすくなったし、“推し”がいればいいという人も多いし、“誰かとつきあったことがないやつは変”と決めつけるような風潮もなくなりつつある。だからかなり生きやすくなったと思うけれど、やっぱり10代から20代前半までは童貞を気にしますよね」

 実際に、ぐんぴぃがバキ童宣言をした後に、それを救いにする若い男性たちは少なくない。

「若い世代の童貞たちから『童貞ですとは言いづらいけど、“バキ童と同じ童貞です”なら言える』と言われることも多いですし、誰にも恋愛感情を持たないアセクシュアルの人から声をかけてもらうことも多い。YouTubeは童貞を卒業するために自分磨きをするわけでもなく、ただひたすらモテないやつがモテないまま好きな漫画の話をするような内容なのですが、『バキ童チャンネルの恋愛のない世界が癒しになります』と言われたこともある。自分はただ生きているだけなんだけなのに……と思いながらも周囲からそんなふうに言ってもらえるのは予想外でした」(ぐんぴぃ)

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