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運転手高齢化に加え2024年問題も 「路線バスの減便・廃止」が日本社会に及ぼす致命的な影響

深刻化した原因は「労働時間」「所得」にあり

 大都市圏も含めて路線バス事業が行き詰まりを見せ始めた背景には、深刻な運転手不足がある。

 厚生労働省によれば、2022年9月時点のバス運転手の有効求人倍率は2.06で、全職業平均の1.20と比べると2倍近い。東京都内で運行するバス会社であっても、思うように新規採用ができなくなっているのである。金剛自動車がバス事業からの撤退を決めたのも運転手を確保できる見込みが立たないことが主要因である。

バス運転者の有効求人倍率

バス運転者の有効求人倍率

 なぜバス運転手は不足するのか。最大の理由は少子高齢化で若い世代が減り、成り手が少なくなったためだ。バス運転手だけでなく多くの産業・業種で人手不足が顕在化しているが、そうした中でもバス運転手の不足が深刻化したのは労働時間が長く、所得が低いためだ。

 国交省の資料によれば2022年の労働時間(所定内実労働時間数および超過実労働時間数)は193時間(全産業平均177時間)、年間所得額は399万円(同497万円)だ。人手不足の慢性化は、各運転手に過重労働としてしわ寄せが行く。それが理由で辞める人も少なくない。

 人手不足なのに賃金が低いのは、バス事業におけるコストの大部分が人件費であるためだ。運転手の待遇改善をしようにも赤字経営続きではままならない。加えてコロナ禍で企業の体力がかなり消耗した。最近はガソリン代などの高騰が追い打ちをかけている。

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