中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

地方都市では「悪口を言ってはいけない」 移住直後に受けたアドバイスの重さをしみじみと感じる

都会の人にとっても「悪口を言わない」姿勢は重要

 これが地方ではライフハックのようになっている現実があります。しかしながら、この姿勢って別に地方特有のものであるべきではない。都会の人にとっても「悪口を言わない」という姿勢は重要なのではないでしょうか。

 地方に来て人々が魚釣りの技術や釣った魚を近所に配ったり、さらには釣った直後に海の中で内臓処理をする様などを見ていると、「生きる力が強いんだな」と思うことが多々ありますが、「他人の悪口を言わない」というものも基本的な生き方の姿勢のひとつなんですよね。

 それなのに、都会の人は「飲み屋では悪口を言ってもいい」的な価値観にとらわれているので、それについては「いや、違うから。コミュニティでうまく立ち回るために、悪口は言わないに越したことがない」ということを主張したいです。

 ただし、相手を明確に糾弾したいという覚悟を決めている場合であれば、いくらでも悪口・批判はしていいと思います。腹に据えかねるようなことがあったらそれは溜めるべきではない。一気に吐き出し不平不満は言っても良い。そのコミュニティを捨てることも辞さない場合において、悪口を言うことを私は否定しません。

 本当は悪口は言いたいところはあるのですが、「におわす」ぐらいだったらOKです。「う~ん、あの人はアレやね」「う~ん、オレの口からは何も言わんわ」ぐらいであれば、ネガティブな感情を悪口を使うことなく相手に伝えることができます。とはいっても、私自身、今はこうして悪口がない環境にいるので、地元の人々に対する悪感情は持っていません。その点、地方都市に住むのは精神衛生上も良いことだな、と日々感じています。

【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など多数。最新刊は『日本をダサくした「空気」』(徳間書店)。

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