李在明氏の出馬表明を見守る韓国の人々(Sipa USA/時事通信フォト)
韓国の政治的混乱が新たな展開を見せている。2017年の朴槿恵氏に続く史上2人目となった尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の罷免に伴う大統領選は6月3日に実施されることになった。現時点では支持率で与党をリードする野党「共に民主党」出身の李在明(イ・ジェミョン)氏が最有力候補とみられるが、李氏はどのような人物で、仮に李氏が当選した場合、韓国経済や日韓関係はどうなるのか。フリーライターの清水典之氏がレポートする。【前後編の後編】
■前編記事:《尹錫悦大統領罷免で動き出した韓国大統領選を左右する“不確定要素” 支持率リードの李在明候補が抱える“時限爆弾”の行方》から読む
目次
韓国では“李氏は筋金入りのポピュリスト”との評価も
現時点では不確定要素が多すぎて、大統領選の予想は難しいが、李在明氏が大統領に選出されたと仮定して、日韓関係はどうなるかをシミュレーションしてみよう。
李在明政権が誕生すれば、国会も野党が支配しているので、盤石な左派政権となる。文在寅(ムン・ジェイン)政権時代(2017〜2022年)に日韓関係は史上最悪と呼べるほど悪化したが、保守系「国民の力」を支持母体とする尹錫悦政権に交代して徐々に改善されてきた。ここでまた左派政権に代わると、文政権時代に逆戻りするのではないかという見方が一部にはある。
李氏はこれまで「慰安婦像」建立運動や親日派の清算運動(日本統治時代に日本に協力した人物を親日派として糾弾し、その影響を排除しようとする運動)などを主導し、福島第一原発の処理水放出を「第二の太平洋戦争」「汚染水テロ」と呼ぶなど過激な発言を繰り返してきた人物である。日韓両政府が「解決済み」としてきた慰安婦問題や徴用工問題が蒸し返されても、不思議ではないように思える。