厚生年金の減額が延々続く可能性
年金法案にある「遺族年金の大幅減額」は将来の話だが、厚生年金の減額延長はすぐ始まる。
しかも、サラリーマンにとっては、年金減額期間が2026年度終了から2030年度終了へと延長されただけでは済まない。5年後の年金改正で3党の法案修正内容通りに「基礎年金底上げ」が行なわれれば、厚生年金はさらに2036年度まで減額が続けられることになる(図参照)。その後も減額が延々と続く可能性が極めて高い。
厚労省はこう説明する。
「社会経済情勢の変化を見極めるため、次期財政検証翌年度まで厚生年金のマクロ経済スライド調整を継続する。この措置により、受給者の方に不利にならないよう、この間の厚生年金の調整率を3分の1に緩やかにすることとしています」(年金課)
だが、自民党でただ1人法案の採決に欠席した河野太郎・前デジタル相は「延長ありき」の誤魔化しだと批判する。
「このままでは次の財政検証より前の2026年度で厚生年金のマクロ経済スライド(減額ルール)が終わる。ならば終わってしまえばいいじゃないかと思うが、厚労省は一旦終了すると再発動は困難と思っているから、ただただ次の財政検証まで続けたい。それで理屈もないまま次の財政検証まではスライド調整率(年金減額幅)を3分の1にするとか決めている。厚労省がそんな恣意的なことをやるのはケシカランし、ルールが途中でコロコロ変わるから国民の年金への信用を失っている」
関連記事《【年金改正法案を徹底追及】会社員の年金“永久減額”の罠 マクロ経済スライドによる減額ルールがこっそり期間延長、20年で累計200万円カットのシナリオに現実味》では厚生年金の「減額延長」の構造やそれにより減額される年金額のシミュレーションを図解とともに詳しく解説している。
※週刊ポスト2025年6月27日・7月4日号