加藤登紀子さんが今の生きがいについて語る
人生100年時代といわれるが、育児や介護が一段落した還暦からの人生はまだまだ長い。そんな第二の人生を充実させるためには“生きがい”を見つけることだろう。著名人の場合はどうやって見つけているのか。歌手の加藤登紀子さん(81才)に話を聞いた。
亡き母が遺した手芸用品で服のリメーク
加藤さんが手掛けたリメークの一例(写真提供/加藤登紀子事務所)
幼い頃の体験から生きがいが見つけられることがある。加藤さんがいま、夢中になっているものがまさにそれだ。
「私の生きがいは『服のリメーク』。これに行きついたのは、コロナ禍のことでした」(加藤さん・以下同)
2020年4月、加藤さんはYouTubeチャンネル「Tokikoの巣ごもり日記」を開設した。当時はコロナ禍でライブ活動がままならなかったため、何か発信できないかと考えてのことだった。
「何を配信しようか考えていたとき、服の仕立てをしていた母が遺してくれた、大量の手芸用品が目にとまりました」
加藤さんが育ったのは、終戦後の物がない時代。布地が手に入りにくかったので、加藤さんの母は仕立て直しの仕事を請け負っていたのだ。加藤さんはそれを見て育ち、手伝いもしていた。
「仕立て直しでは、まず糸を切ってほどくのですが、糸口は返し縫いでしっかり縫われているので、それを見つけてほどくのが大変。それさえクリアできれば、あとはスルスルと簡単にほどけるんですけど、子供の頃のお手伝いの経験があるので、私はそれがうまいの(笑い)。自宅にはステージ衣装がすべて保管されているから、それらの素材と昔取った杵柄を生かして、リメークを始めたんです」