魅力すぎる物件に潜む罠とは(イメージ)
存在しない魅力的な物件を掲載し、集客する「おとり物件」。架空の物件を作り上げるような、あからさまな悪徳業者は減っているものの、完全に姿を消したわけではないようだ。そうした事情については、関連記事《不動産業界で“おとり物件”疑惑が生まれてしまう背景 架空の物件で消費者を騙す悪徳業者は減ったものの…主因は「物件の情報更新のタイムラグ」》で詳しく報じているが、実際に「おとり物件」が疑われる事例はどのようなものか。その典型的な手口と対策について、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」を運営する株式会社LIFULL LIFULL HOME’S事業本部 物件情報精度責任者・宮廻優子氏に聞いた。
内見予定日の前日になって「申し込みが入りました」
IT企業勤務の30代男性・Aさんは数か月前、ある不動産ポータルサイトで、好条件のわりに家賃が相場より安い物件を発見したときのことを振り返る。
「駅まで2分、敷金・礼金ゼロ、家賃は相場より約2万円安い。築年数はやや経っているけどリフォーム済みで、見た目はまるで築浅物件。掲載・情報公開日から約50日が経過していたのに、『よく残っていたな』と飛びつきました」
Aさんが空室問い合わせをすると、不動産仲介会社の担当者からすぐに電話がかかってきたという。担当者の『空きがあります』という言葉に、『思わずガッツポーズした』というAさん。早速内見を希望したが、担当者は意外にもその提案を渋ったという。
「『まずは店舗にお越しください』と言われたのですが、どうしても先に見てみたかったため、『内見のあとに店舗に伺う』と言うと、担当者もそれを了承してくれました。でも内見当日、お店から電話がかかってきて『人員不足のためご案内できない』と断られました。数日後、ようやく内見できることになりましたが、今度は内見予定日の前日になって『申し込みが入りました』と連絡があり、結局、契約できませんでした」(Aさん)