外乱:注意を奪いに来る侵入者
外乱とは、こちらの意思とは関係なく私たちの注意を奪いに来るものです。同僚からの突然の呼びかけや電話の呼び出し音などが典型的な外乱です。
しかし現代は、これに加えてデジタル由来の外乱が爆発的に増えています。
・チャットやメッセージの着信
・メールやアラーム
・未読の数を知らせる赤いアイコン
・スクロール中に飛び込んでくるウェブ広告
これらはすべて「外乱」です。
「いつも通知が気になって仕方ない」という人は多いと思います。現代に生きる私たちは、従来の外乱に加えて、このような「デジタル外乱」にもさらされています。脳にとっては、「割り込み処理」をするたびにエネルギーが奪われるため、実際のタスク量は変わらなくても、やたらと追い立てられているような感覚が作り出されます。
つまり、「脳疲労」×「外乱」=多忙感。
脳のエネルギーがすり減っているところに外乱が押し寄せると、忙しさは実際以上に大きく膨らんでしまうのです。
疲れているときほど「チャット」を見てしまうのはなぜか
「疲れているなら外乱を避けるのでは?」と疑問に思われるかもしれません。よく考えると、疲れているのに外乱に応じるのは、不可解な行動ですよね。
ただ、これは誰しも経験があると思います。むしろ疲れているときほど、メールやチャットをチェックしてしまう。「メールが来ているかもしれない」「即レスしないと溜まってしまう」など、反応が遅れてしまうことへの焦燥感があるのかもしれません。とにかく気になるのです。
ちょうど、かゆみに対してかきむしるほど余計かゆくなるように、わざわざ事態を悪化させてしまいます。
これが多忙感を特徴づける「外乱への過剰反応」です。
確かに、現代の環境は外乱にあふれています。それだけではなく、私たち自らが、外乱へ過剰に反応し、そしてそのことに無自覚です。スマホの電源を切っても、頭の中ではずっとスマホのことを考えてしまいます。これは、私たち自身の性格や意思の問題ではありません。脳の反応なのです。
多忙感を解消するには、脳の働きを変えなければなりません。では、どうすれば脳の働きを変えることができるのでしょうか?