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《『定年後』著者・楠木新氏が説く“人生の最後10年との向き合い方”》大切なのは「人間関係の確保と再構築」、重視すべきは「素の自分でいられること」

残り10年との向き合い方が上手な人は“いい顔”をして幸せに過ごしているという(イメージ。Getty Images)

残り10年との向き合い方が上手な人は“いい顔”をして幸せに過ごしているという(イメージ。Getty Images)

 最後まで充実した人生を送る人々は何が違うのか──ベストセラー『定年後』(中公新書)で老後の豊かな生き方を模索した作家・楠木新氏(71)は、長年の取材の結果、ひとつの指標が見えてきたという。

「これまで定年退職後の500人以上に取材を続けてきました。そこで感じたのは現役時代の延長である『定年後』というステージは、概ね10年で終わるということです。健康状態やお金、人間関係など、様々な条件が定年から10年で大きく変わります」

 重要なのは“このまま終わる”と考えるか、“その後もある”と考えて生きるのかだという。

「孔子の『論語』には、『七十にして心の欲する所に従えども矩を踰えず』とあります。“70歳になると想いのまま行動しても人の道を踏み外すことがなくなる”ということですが、実際に70歳になれば破天荒なことができなくなる。つまり、好きなことをやるにしても常識の範囲を超えないようになります。

 ただし、この言葉から孔子は、“老い=衰えて何もできないこと”と単純に捉えていない。むしろこれまでの人生を積み上げて、さらなるステージが開けるように説いていると感じられるのです」(同前)

 残りの寿命と向き合いつつ、まだ人生が続くことも考慮する。そんな人生の舵取りが求められるのだ。こうした点を念頭に近著『定年後、その後』(プレジデント社 10月刊)や『75歳からの生き方ノート』(小学館)を上梓したと楠木氏は話す。

「残り10年との向き合い方が上手な人は“いい顔”をして幸せに過ごしている。そこで強く意識したいのが『5つの寿命』です」(同前)

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