なぜ日本でUPIが導入できないのか(イラスト/井川泰年)
日本ではまだまだDX(デジタルトランスフォーメーション)が進行しているとは言い難いが、そんな“アナログ日本”の対極にあるのが、デジタル大国・インドだ。なかでも主要なモバイル決済サービスとなっている「UPI(Unified Payments Interface/統合決済インターフェース)」については、注目すべき点が多いという。経営コンサルタントの大前研一氏が解説する。
* * *
3月末で終了するはずだった従来の健康保険証の使用期限が、7月末まで延長された。8月からは「マイナ保険証」の使用が原則となる予定である。ただし、マイナンバーカードを持っていない人やマイナ保険証を利用しない人には、これまで通り保険診療が受けられる「資格確認書」(健康保険加入を証明する紙のカード)が発行されており、今後も有効期限(5年)が近づくと自動的に新しい資格確認書が交付されるという。国民は大混乱・大迷惑だが、それなら従来の保険証とマイナ保険証を併用すればよかっただけの話ではないか。
ちなみに、昨年12月末時点のマイナンバーカードの保有率は80.8%。また、昨年12月のマイナ保険証利用率(オンライン資格確認の利用件数に占めるマイナ保険証の利用件数の割合)は47.73%だったから、昨年末の段階では国民の6割以上が従来の健康保険証や資格確認書で受診していたことになる。10年前の発行開始以来、「デジタル社会に必要なツール」(デジタル庁)であるはずのマイナンバーカードの使い勝手の悪さを象徴する結果となっている。
そんな“アナログ日本”の対極にあるのがデジタル大国・インドである。
新聞やテレビではあまり報じられていないが、実は今、NTTデータが訪日インド人観光客や在日インド人だけが利用できるQRコードを使った手数料ゼロの「UPI(Unified Payments Interface/統合決済インターフェース)」というリアルタイム送金・決済プラットフォームサービスの導入準備を進めている。
UPIはインドの主要なモバイル決済手段で、どのスマホアプリでも決済が可能だ。今ではもともと銀行口座やクレジットカードを持っていなかった人も含めてすべてのインド国民がUPIを活用できるようになり、すでにフランスなど海外8か国にも輸出されているという。2024年度の決済回数は、実に1858億回に達している。
だが、UPIはまだ日本国内で利用できず、観光・ビジネス両面で決済利便性の向上が課題となっていた。そこで、NTTデータが提供している国内最大のキャッシュレス決済プラットフォームサービス「CAFIS」の加盟店で利用できるよう、UPIを運用しているインド決済公社グループと業務提携し、今年度のサービス開始を目指すという。
UPIは利用者にとってメリットが多々ある。加盟店の決済だけでなく、銀行口座間や個人間の送金にも手数料はかからない。
