蒲田駅西口には大きな駅ビルがあるが、それが東西を分断する壁として立ち塞がる(2025年7月筆者撮影)
大田区には高級住宅街の代名詞的存在になっている田園調布、芸術家や作家が多く居住した馬込文士村などといった街もある。そうしたなかで、大田区を代表する街のひとつとして名前があがるのが「蒲田」だ。前編では、蒲田にとって「蒲蒲線」開通がどのような意味を持つのか、その予定と未来についてレポートした。後編では「蒲蒲線」が誕生することで格段に利便性が向上する一方で、懸念されるさまざま問題について、ライターの小川裕夫氏がレポートする。【前後編の後編。前編から読む】
蒲田駅「東西自由通路」開設で一体感が生まれるか
800m離れているJR・東急蒲田駅と京急蒲田駅をつなぐ新空港線、いわゆる蒲蒲線が実現に向けて動き出したことで、羽田空港から渋谷・新宿へのアクセスは格段に向上するだろう。また、渋谷駅と蒲田駅が一本の電車で移動できるようになれば、蒲田のさらなる活性化にも期待が高まる。
だが、京急蒲田駅へ線路が延伸すると、JR・東急蒲田駅の周辺は通過されるだけになり、蒲田の街のなかで格差が生まれるのでは、と不安視する声がある。そうした不安を解消する施策として、大田区は入念にまちづくり計画を策定。その目玉となるのが、JR蒲田駅の東西を24時間通行可能にする自由通路の開設だ。
蒲田駅の現状と「東西自由通路」「北側自由通路」の整備計画(大田区ホームページより)
JR・東急蒲田駅の東側、京急蒲田駅との間には商店街が広がり、大田区役所がある。歩いていたら、餃子屋の呼び込みに何度も声をかけられたのも東側だった。一方の西側にもアーケード商店街はあるが、それよりもガード下に昭和テイストが残るレトロな飲食店がひしめく、バーボンロードと呼ばれる飲み屋街が蒲田らしさを放つ。東側と西側は、駅舎や線路によって分断されている。そのため、現在は簡単に行き来しづらく街に一体感は感じられない。
今も東西の通り抜け通路がないわけではない。24時間利用できるという意味では、交番の隣にある地下通路があるが、老朽化が進んでいるうえ、その暗さもあって、夜間は利用が憚られる状態だ。そこに新たに東西自由通路を開設すれば、駅を中心に街の東西はシームレスに移動できるようになり、街に一体感を生み出して蒲田全体の発展にも効果が期待できるだろう。

