高市首相の公約であった「食品税率ゼロ」の議論が遅れている間に減税への慎重論も出始めた
高市早苗・首相が悲願と称す「食品の消費税ゼロ」の実現に暗雲が垂れ込めている。抵抗勢力とされる財務省は海外の機関を使って外堀を埋め、消費減税どころか、むしろ増税に舵を切る方向に持っていこうとしているのではないか――その策略の裏面に迫る。【前後編の前編】
公然と上がり始めた減税への慎重論
「夏前にまとめるのは無理ではないか」(古川元久・国民民主党税調会長)
高市公約の「食品の消費税ゼロ」を議論する国民会議のメンバーからそんな声が飛び出した。
高市首相は「今年度内」の食品税率ゼロ実現を目指すとしていたが、目算が大きく狂っている。
内閣官房の国民会議事務局に聞くと、「政府は中間とりまとめを『夏前、6月中』と言っていますが、具体的なスケジュールは決まっていません」と認めた。実務者会議のメンバーでチームみらいの政調会長、古川あおい・衆院議員もこう話す。
「事務局から『中間とりまとめに向けた議論の整理』という資料が提出されましたが、とりまとめに向けた具体的な議論や合意にはまだ進んでいません」
結論が遅れて法案を秋の臨時国会に提出できなければ、来年の通常国会へ先送りだ。これで物価高騰対策と言えるのか。
しかも、議論が遅れる間に減税への慎重論が公然と上がり始めた。
日本商工会議所の小林健・会頭(元三菱商事会長)は5月13日の会見で、「減税を実施した場合、2年で税率を元に戻すことにエネルギーを使う価値があるのか」と疑問を呈し、来日中のOECD(経済協力開発機構)のコーマン事務総長は同日の講演で、「食品の消費税ゼロは大雑把でコストがかかる。高所得世帯に不均衡に大きな恩恵を与える」と反対論を展開した。
