ジンフィズは蒸し暑い日の1杯目にうってつけ
楽なスタイルで飲むのが一番
店へはいると、先客が2人。外国人だ。最近はこういうことにも驚かなくなったが、ふたりしてTシャツ姿、カウンターに折り畳み傘を置いてスマホをいじってる。コラッ、ちゃんとせえ! と、昔の厳しいマスターだったら怒鳴っただろうが、昨今、京都のバーなどで飲んでいると外国人に会わないほうが珍しいくらいだし、欧米系の人々はおしなべて、身なりも仕草も非常にリラックスしている。
視点を変えると、昔、私がオーセンティックバーに足を踏み入れた頃のように背筋を伸ばしてきちんと座り、押し戴くようにして1杯のカクテルを飲む姿を、海外のバーやパブで見ることはなかった。
つまり、これで、いいのである。楽なスタイルで楽しく飲むのが一番。そのほうが、酒がうまい。そう感じる人も多いだろう。
雨の午後。やはり少しばかり蒸し暑かったか。喉が渇いている。そこでまずはジンフィズを注文。マスター深澤篤志さんの姿を眺めつつ、しばし、バックバーに目をやる。
実に立派なつくり。1930年代にアメリカで発展したアールデコの直線の美しさが、端正でいて大らかな雰囲気を醸し出している。横を見れば、書棚に分厚い書物、その横には数々のパイプが置かれている。喫煙はもちろんOKだし、パイプや葉巻を愛するお客さんもいるようだ。
煙と酒はいつの時代も相性抜群
少し甘さのあるジンフィズがうまい。この数年、バーでの1杯目はこれと決めている。昔はとにかく甘さを避けていたから同じジンベースで頼むときもジンリッキー一辺倒だったが、いつの頃からか甘味に興味が出てようだ。ジンフィズは、言ってみればジンベースのレモンスカッシュ。蒸し暑い梅雨時の昼酒にうってつけではないだろうか。

