地面師詐欺事件の舞台となった「海喜館」(時事通信フォト)
大企業との土地取引で大手住宅メーカー・積水ハウスから55億円超をだまし取った地面師詐欺事件。事件を追い続けてきたノンフィクションライター・森功氏が主犯格への独自取材をもとに『地面師vs.地面師』(講談社)を上梓した。ノンフィクションライターの高橋ユキ氏が森氏の取材手法について掘り下げる。(文中一部敬称略)
「はっきり言います。私は無罪です」
本書の出発点は2024年春、事件の主犯格として有罪判決を受けたカミンスカス操から届いた一通の手紙だった。
「私は積水地面師事件で主犯とされたカミンスカスです」「はっきり言います。私は無罪です」
以来、森氏は獄中のカミンスカスと文通を始め、往復およそ50通のやり取りを重ねながら取材を続けた。
しかし、相手は詐欺師である。
森氏は「詐欺師は9割5分は本当のことを言い、残りのわずかな部分で決定的な嘘をつく。だからその嘘を信じてしまう」と語る。実際、カミンスカスは暴走族時代の逸話など生い立ちについては赤裸々に語る一方、都合が悪いと思しき質問にはのらりくらりとはぐらかすこともあったという。
本書は、カミンスカスの証言を手掛かりにしながら、森氏がその真偽を一つひとつ検証していく過程がノンフィクションならではの読みどころとなっている。
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