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住まい・不動産
都心の高級マンションの賢い「買い方・売り方」

「今すぐ3億円か、半年後の3億1000万円か」不動産売却時に念頭に置くべき“時間価値まで含めた実質的な手残り”という視点 売却価格だけがゴールではない

一長一短がある不動産売却の3つの選択肢

 不動産売却には、主に3つの選択肢があります。

(1)一般仲介で売る
(2)不動産会社や買取再販業者に買い取ってもらう
(3)売らずに保有する

 これらは、それぞれに一長一短があります。

(1)一般仲介は、市場の買主に広くアプローチできるため価格を追求しやすい一方、時間がかかり、内見対応、価格交渉、ローン審査、契約不成立のリスクがあります。
(2)直接買取は、早期の現金化と確実性が大きなメリットで、内見対応や契約不適合責任の負担を軽減できる場合もありますが、業者が再販売利益や在庫リスクを織り込むため、価格は一般仲介より安くなるのが一般的です。
(3)保有は、賃貸収益や将来の値上がりを狙えますが、空室、修繕、管理コスト、税金、金利上昇、市況悪化のリスクを抱えます。

 ここで重要なのは、表面上の売却価格ではなく、「実質手残り」で比較することです。実質手残りとは、売却価格から、仲介手数料、登記費用、税金、ローン返済、そして保有期間中の管理費・修繕積立金・固定資産税・修繕費・クリーニング費用といったコストを差し引き、さらに時間価値まで考慮した後に、最終的に売主の手元に残る金額を指します。

 たとえば、(1)の一般仲介で2億1000万円で売れる可能性がある一方、買い取りで2億円の提示があるとします。表面上は、一般仲介が1000万円高く見えます。しかし、一般仲介では仲介手数料がかかり、売却するまでに半年かかれば、その間の保有コストとローン金利もかかります。室内をよく見せるための修繕やクリーニングの費用、買主がローン審査に通らないリスクもあり、市場環境が変われば価格を下げる必要も出てきます。

 一方、(2)の直接買取は、仲介手数料が不要になる場合があり、短期間で現金化でき、販売期間中のコストと価格下落リスクを抑えられます。もちろん、だから直接買取がよいという話ではありません。繰り返します。大切なのは表面価格ではなく、実質手残りと確実性で比較することです。

 一般仲介で想定される成約価格と、そこまでの期間。仲介手数料と保有コスト。価格が下がるリスクと、買主のローン不成立リスク。直接買取なら、いつ現金化でき、価格差は時間と確実性とリスク軽減に見合うのか。(3)の保有を続けるなら、賃料収入と維持コストはどうか。このように、実質手残り、時間、確実性、手間、リスク、資本効率で比較すれば、売却判断は合理的になります。

「一般仲介が高い」「直接買取は安い」「保有が安全」と、安易に決めつけるべきではありません。

※石黒雅規著・『都心の高級マンションを最高値で売却する技術』(クロスメディア・パブリッシング)より一部抜粋して再構成

(都心の高級マンションの賢い「買い方・売り方」・第3回に続く)

【プロフィール】石黒雅規(いしぐろ・まさのり)/株式会社I-House代表取締役。慶應義塾大学経済学部卒業後、American Universityで経済学修士課程、Columbia Universityで統計学修士課程を修了。学生時代、ワシントンD.C.での日本大使館経済班インターンを経て、JPモルガン証券で投資銀行業務等に従事。30代は代表取締役として中小企業の経営に携わる。2016年に株式会社I-Houseを設立し、代表取締役に就任。事業提携の解消により売上の大半を失う危機を乗り越え、2020年10月に不動産業界へ参入。都心の高級中古マンションに特化したメディア「mitaina」を立ち上げ、運営を開始。2026年10月現在、同メディアの月間利用者数は約15万人、SNSの合計フォロワー数は15万人超。
Instagramアカウント:@mitaina.tokyo
Xアカウント:@MasaIshiguro

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