家計

年に0.002%の金利でも定期預金する意味はあるのか?

 この消費者物価指数を見ると、2019年5月から2020年5月までの指数上昇率は0.4%(頻繁に価格が変動する生鮮食品やエネルギーは除く)。これに対して、2019年5月時点の定期預金の利率は年0.01%である。つまり、自分の持っている財産を全て定期預金に1年間預けても、利息で増えるのは年0.01%だが、一方で日々購入する商品やサービスの値段は0.4%上昇しており、実質的にお金の価値は、この1年間で0.39%目減りしたことになるのだ。

 ちなみに、昨年1年間の消費者物価指数の平均上昇率は0.6%だった。定期預金の利率が年0.002%まで引き下げられるなか、今年も同じように物価が上昇すれば、昨年よりもさらに速いペースでお金の価値は減ってしまう。

 資産運用の目的は、こうした物価の上昇によってお金の価値が目減りするのを防ぐことにある。そのため、最低でも物価上昇率を上回る利益が得られる方法を考えなければならないが、少なくとも現状の定期預金利利率ではその役目は果たせない。

 この状況を踏まえて、政府も税制メリットが得られるiDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISA(少額投資非課税制度)などの制度を活用するよう呼び掛けている。この制度は元本割れの可能性もある金融商品への投資を前提としているが、多少なりともリスクを取りながら資産運用にお金を振り分ける必要があるのは、預金しておくだけでは危ないこうした理由があるためなのだ。

【プロフィール】すずき・まさみつ/金融ジャーナリスト。岡三証券、公社債新聞社の記者などを経て独立し、有限会社JOYntを設立。投資信託や資産運用を中心に雑誌やオンラインメディアに寄稿する他、出版プロデューサー兼ライターとして230冊以上の単行本の企画・制作を手掛ける。

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