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バイデン氏の環境政策は日本企業に逆風 自動車、電力業界に影響か

 トヨタにとってこの4年間は“親トランプ”を打ち出すことを強いられる期間だった。

 メキシコの新工場建設について、「米国第一」を掲げるトランプ大統領から猛烈な批判を浴び、その意向に沿うべく、米ケンタッキー工場に1500億円規模の追加投資を行なった経緯がある。2018年には、マツダとの合弁で米南部アラバマ州に新工場の建設を発表した。

「トランプ大統領の要望に応じた格好の同工場では、2021年から生産開始を予定している。ただ、今後は環境規制の強化に伴いエコカー投資の拡充を余儀なくされるなど、政権交代を受けて目まぐるしい対応を迫られる状況に直面することになります」(経済ジャーナリストの福田俊之氏)

 環境対策については菅政権も「2050年までに温室効果ガス排出ゼロ」を宣言しているが、「米国で脱炭素が急進されれば、火力発電を主力とする日本の電力会社には大きな逆風になる」と前出・関氏は危惧する。

「バイデン政権下の米国主導で世界的な環境問題への意識が高まれば、その歩みが遅い国に矛先が向けられることになる。米国との軋轢を避けるために、日本国内でも発電会社への脱炭素圧力が強まり、業績が落ち込むところが現われることが懸念されます。特に、石炭火力の比率が6割近くある北陸電力や沖縄電力などが受けるダメージは大きいはずです」(関氏)

 脱炭素に伴い、トランプ政権下で“優遇”されてきた原油や天然ガス業界も先行きが懸念される。

「液化天然ガス開発などを手掛ける三菱商事などの総合商社、輸送する商船三井や日本郵船などの海運業界など、幅広い影響を及ぼす可能性もある」(前出・福田氏)

※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号

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