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本当にやってよかった?「仮面浪人」を経て志望大学に合格した人たちの事情と本音

「万が一、また不合格になった時のためにも単位はとっておきたいので、講義をサボるわけにもいかない。もちろんサークルに入る余裕なんかありません。周りの子たちはデートや合コン、化粧品、ファッションなど大学生らしい会話をする中、『私は何をしているんだろう……』と泣きそうになったこともありました。

 でも、その1年の犠牲を経て、希望していたトップ私大に合格。高校の同級生たちになんとなく抱いていた劣等感を払拭できましたし、そこではゼミやサークルなど充実した学生生活を送ることができました。おかげで自信を持って就活に臨み、憧れの会社にも入ることもできました。当時、仮面浪人を理解してくれた親には感謝でいっぱいです」(Aさん)

「東京の大学に行くために」親に内緒で受験勉強

 仮面浪人は「暗黒時代」と振り返るのは、IT企業で働くBさん(30代男性)だ。「何としても東京に行くこと」。それが仮面浪人時代のモチベーションだったそうだ。地元では名門として知られる公立高校から1浪を経て、近県の中堅国立大に進学したBさんだったが、入学当初から自分の人生の行く末に不安を感じるようになったという。

「地元に帰って役所に入るか、地方銀行に入る感じの人生になるんだろうなと、それ以上の未来が想像できませんでした。その一方で、東京に行った友人は楽しそうで、めちゃくちゃうらやましかった。そこで、東京の難関私大を目指すことに決めました。当時通っていた大学では得られないものが、東京の大学なら得られるはずだと思ったからです。『俺はこの大学で終わるような人間ではない』という謎の自信もありましたね」(Bさん)

 一人暮らしをしていたBさんは、仕送り5万円と奨学金約3万円で、参考書や模試代などの不足分はアルバイトで補っていたという。予備校に行くお金はないので通信講座で勉強。ただ、親には秘密で仮面浪人していた。母親が仕送りを送ってくれた日にかかってくる電話で、『大学生活は楽しい?』といつも聞かれて「心が痛かった」と言う。

「東京に行くとなると一人暮らしのお金もたくさんかかるし、結局1年余分に授業料もかかるので、親には後ろめたかったのですが、不合格だったら“なかったこと”にしようと思い、伝えていませんでした……。合格して報告すると、喜んでくれたので良かったです。入学金は親に借りて月賦で返済。東京ライフを満喫できただけでなく、全国から様々なバックグラウンドを持った面白い人たちが大学にいて、自分の世界が広がりました。気の置けない仲間もできて今も時々会っています。あの時の決断は間違っていなかったと思っています」(Bさん)

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