そこまで私を追い詰めたのは何か。
あれこれ考えて思い当たるのは、やっぱり大便なんだよ。どんなことをしても自分のものにはならないし、混じることのない、他者の大便の始末をし続けたからなんだと思う。
ツバとツバは何かの加減で混ぜて興奮することはあったとしても、シモを混ぜた人の話は聞いたことがない──そんな話を凄腕ヘルパーのOさんに言うと、「あはは。仕事だと、お世話することはなんてことないんですけどね」だって。そう言われてみると、私だって仕事と思えば、割り切ってできることはいっぱいある。
母親の介護も、こうして文章に書いて仕事にしていたら割り切れる日が来るのかしら。いまは決して母親と同じ食卓を囲まなくして、なんとかやり過ごしているけど、それでも本音はイヤで逃げ出したい。
【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。
※女性セブン2021年12月2日号