石原裕次郎さん(時事通信フォト)
「映画の衣装や実際に使用したグッズなど、裕次郎さんの遺品にはプレミアがついていることも少なくない。ただほとんどの遺品は、北海道にあった記念館(2017年に閉館)に展示された後、一部が美術館などに寄贈された程度です。
実は慎太郎さんは、裕次郎さん亡き後、“物書きだから”という理由で形見の筆記具を受け取っていたそうです。裕次郎さんが使い、芥川賞作家の慎太郎さんが使ったとなれば、価値を感じる人もいる」(石原家を知る人物)
椎葉氏によると、希少価値があり「時価」として扱われるものは、法律上も税務上も、相続財産に含まれる。
「裁判まで発展すると、鑑定評価が必要になるケースもあります。その評価をもとに分割の話し合いが進められますが、時間の経過とともに価値が再認識されて値上がりする可能性を相続人が感じていたりすると、話がまとまりにくくなります」(椎葉氏)
婚外子である“5人目の息子”にも相続の権利
相続の話し合いがスムーズに進むためには、何より相続人同士の関係性が重要だ。石原さんの死去当日、自宅前で4兄弟が揃って報道陣に対応するなど、少なくとも表面上は友好的な関係に見える。だが、事態を複雑にするのは、石原さんには“5人目の息子”が存在することだ。
「石原さんには、1980年代に銀座の高級クラブに勤めていた女性との間に男の子が生まれています。つまり婚外子となるわけですが、1994年に認知しています。成人するまで毎月20万円を養育費として支払っていたと聞いています」(ベテラン政治記者)
すでに作家として活躍していた、石原慎太郎さん20代の頃(時事通信フォト)
この婚外子をAさんとする。1999年4月、都知事に当選したあとの会見でAさんに関する質問が飛び、石原さんは次のように答えていた。
「事実です。20年前のことで、私にとって若気の至りというか、私の不徳というか」
Aさんは、幼少期を東京で過ごし、その後、母親の出身地である新潟に転居。大学入学を機に再び上京したという。
「大学卒業後、都内ホテルで働いていたと聞いています」(前出・ベテラン政治記者)
現在30代のAさんとは、石原さんは金銭的な支援はしていながらも、ほとんど交流はなかったという。それでも認知しているということは、法的には親子関係にある。
「つまりAさんにも、相続する権利があるということです。その権利は、ほかの4人の子供と同等です。長らく関係がなかったとしても、遺産分割協議の場には参加しなければなりませんし、Aさん抜きで話を進めることはできません。また、成人するまで金銭支援をしていたということですが、それは扶養義務の範囲とされ、Aさんの相続分に影響することもない」(椎葉氏)
血を分けた“5人の息子たち”のことを、石原さんは天国から見つめている。
(了。前編を読む)
※女性セブン2022年3月3日号
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