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相続対策の王道「マンション節税」に司法がNG、アウトとセーフの境目はどこか【後編】

2022年4月「不動産節税にNG」の最高裁判決

2022年4月「不動産節税にNG」の最高裁判決

 不動産投資経験の有無も関係してくる可能性があるという。

「相続税対策ではなく、不動産投資で収益を得るための購入であるケースもあります。ただし、そう主張しても相続税の軽減が目的とみなされるリスクはあります。もともと不動産投資をしていた人が高齢になってからも銀行融資を受けるなら説明もつくが、経験のない高齢者が急に不動産投資を始めるのは不自然です。

 不動産を活用した相続税対策は基本的に不動産投資をしたことがない人が高齢で始めるケースが多いので、当局がそこを判断材料とする可能性はあるでしょう」(同前)

 近年、相続税対策で注目される「不動産小口化商品」も監視の目が厳しくなるかもしれない。木下氏が語る。

「都心の1等地にあり、時価数十億円もするようなオフィスビルを一口100万~1000万円ほどに細分化し、少額で買えるようにした商品です。現物の不動産と同じく、時価と相続税評価との乖離を利用して相続税を軽減できる上、小口のため銀行融資や稟議書が必要なく、節税目的と認定されにくい。しかし最高裁判決を受け、不動産小口化商品を利用して行きすぎた節税をするケースがあれば、見せしめとして国税当局が動く可能性もあります。

 とはいえ前述した通り、常識の範囲内であれば問題となることはありません。今後不動産購入を考えている人は留意点を踏まえた上で購入するようにしましょう」

 相続を巡る常識はどんどん変わっているのだ。

(了。前編から読む

※週刊ポスト2022年9月16・23日号

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