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家計

必要ないのに高枝切りバサミを買う人も… 昭和世代を惹きつける「テレビ通販」の魅力と落とし穴

商品との出会いは突然やってくる(イメージ)

商品との出会いは突然やってくる(イメージ)

 コロナ禍の丸3年、外出自粛などが続いたことで、家に居ながらにして買い物を済ませられる「通販」がいっそう普及した。富士経済によると、通販全体の市場規模は約14.5兆円(2021年)、約15.4兆円(2022年見込み)と堅調に拡大している。売上高の大部分はスマートフォンやパソコン経由のEC(電子商取引)が占めるが、テレビ通販も増えているという。80代の実母と2人暮らしのライター・田中稲氏が、「テレビ世代」にとって抗しがたい魅力の数々を秘めた通販番組について、少しの後悔とともに綴る。

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 テレビショッピングのパワーは、「推し活」のアピールと似ている。似たような機能がついた商品をこっちはどう、こっちもいいよ、と出してくるのではなく一商品を集中して、ガンガン、「この部分がいいぞ」「このステキ(便利)ポイントを見てやってくれよ!」と熱く語る。その情熱、推しのアイドルを紹介する熱烈ヲタの如しだ。

 その熱量に耳を傾けてしまうのはもちろん、それが自分の日常の困りごととリンクした商品なら、「私が探していたものはこれだったかもしれない」と思い込むのも、もう仕方ない話なのである。

 しかも、わが家は50代の娘、80代の母という昭和親子、2人ともテレビ世代。特にコロナ禍以降が顕著だが、インドア生活が主な80代の母にとっては、テレビが一番の娯楽(もはや友達)で、ついていないと時間を持て余してしまう。「観たい番組がなくてもとりあえず電源を入れる」状態だから、突然流れてくるテレビショッピングの思うつぼである。急に始まる商品のグイ推しが目に、耳に入ってくると、どんなことが起こるか?

「へええ、これはいい……」と、これまでシミが消える化粧品(約4000円)と羽毛布団(約2万円)、高級毛玉取りブラシ(約5000円)などを、我が家はまんまと買ってしまった。もちろん、いずれも逸品揃いで、使用感も悪くはない。購入時の価格も、番組内で強調されたとおり「お買い得感」があったのも事実だ。が、時が経つにつれ、「本当に必要だった?」との自問自答がないわけではない。

 しかも番組によっては、構成が巧みだ。「これだけの機能がついてこのお値段!」「今だけ! 今だけです」とプッシュする人とは別の役、お笑いでいう「ツッコミ」もいて、「うーん、でも、○○なんでしょう?」とご丁寧に弱点まで私たちに代わって指摘してくれたり、「もっと安くならないの?」と値切ってくれたりまでする。また愛用者の方が緊張しながら、使用後日常がどう前向きになったか感想を言ってくれることもある。

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