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トヨタ社長交代で何が変わるか 「新社長は豊田章男新会長の“アバター”」「人事権は会長」との指摘

13年間にわたり社長を務めた豊田章男氏(時事通信フォト)

13年間にわたり社長を務めた豊田章男氏(時事通信フォト)

社長交代の思惑

 なぜ、このタイミングでの社長交代なのか。

「世界的なEV化をはじめ業界の大変革期を迎え、ウクライナ問題や米中対立など世界情勢の激変を見越して先手を打ったのだと思います。トヨタが描く未来都市構想やモビリティ・カンパニー(注:移動に関わるあらゆるサービスを提供する企業)への転換を実現するためにも、屋台骨のクルマづくりを若い世代に任せると決断した。カリスマ社長の長期政権による弊害を避けたいとの狙いもあるでしょう」(同前)

 バトンを渡される佐藤氏は1992年に入社後、プリウスの部品開発や「レクサス」ブランドのチーフエンジニアを歴任。章男氏とは「無類のクルマ好き」という共通点があるが、マスタードライバーも務めるほど「運転好き」な章男氏に対して、佐藤氏は「運転する人が笑顔になるクルマをつくることが喜び」だという。

 2人の関係について、片山氏はこう言う。

「佐藤氏は、章男氏がレクサスのEV化や水素エンジン車の開発で大いに鍛えた秘蔵っ子。トヨタの開発部門は重鎮が多く、章男氏でさえ思い通りにならない“白い巨塔”と言われるが、佐藤氏には開発部門の変革も期待しているのでは」

章男氏長男までの「つなぎ」か

 一方、社長交代による今後の課題も見え隠れする。経済ジャーナリストの福田俊之氏が言う。

「佐藤氏が章男氏好みの人物であることに間違いはなく、章男氏の“アバター(分身)”の印象すらあります。退任と同時に代表権を持つ会長に就任する章男氏が、コントロールしやすい人物を選んだとも言える。佐藤氏なら、今後も章男氏が思い描く通りのクルマづくりやブランド戦略を講じていけると思います」

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