まつのすけさんはトランプ・ショックにどう対応したのか(CNP/時事通信フォト)
アメリカのトランプ大統領が「相互関税」をめぐり世界の株式市場は混迷のなかにある。相互関税の発動後、間もなくして一部の国に対して90日間停止することが発表され、日米交渉も進んでいるが、先行きは不透明だ。その間、日本市場も乱高下を繰り返している。そうした状況を株式投資で億の資産を築いた「億り人」はどう見ているのか――。
会社勤務と並行して株式投資を始め、過去の相場の動きに基づいて売買する「アノマリー(経験則)投資」で33歳にして億り人となった「まつのすけ」さん。40代で起業して投資を続ける一方、マネー関連情報の発信にも取り組んでいる。まつのすけさんは現在の市況をどのように見るのか。
「当初発表された相互関税が予想以上のものだったということで、一気に投資家心理が冷え込み、グローバルサプライチェーンの混乱やコスト増などは確実で、それで一気に株価が下がった。今後もどうなるかわからないという不透明感が強まっており、こういう場面ではリスク資産は売っておいて、落ち着いたら買い戻そうという考えになりがちです。
なかでも自己資金以上の取引を可能とする信用取引では、追証などのリスクを避けるためにポジションを解消しようとする動きもあって、市場は短期的には過剰反応するものです。この先も短期的なシステムトレードが下落トレンドに沿った単純な順張りで空売りを入れるなどして、下落が加速するといった過剰反応が続くリスクはあります」(以下、「」はすべてまつのすけさん)
トランプ大統領はここまでやるか…
まつのすけさんの現在の資産は約10億円に達しているというが、トランプ・ショックによる株価急落で、自身の資産にどれぐらいのマイナスが出たのだろうか。
「私は現金をほぼゼロにしてすべて投資するフルポジの状態だったので、かなりマイナスになり、“残念……”という感じでした。それにしても、トランプ大統領はここまでやるか、と思いましたね。
新興国なら貿易赤字が続くと外貨が流出して困りますが、米ドルは基軸通貨なので、貿易赤字でもドルが米国に再投資されることで還流する仕組みになっている。ドルを刷るだけで世界から安くモノが買えるという基軸通貨の特権があるはずなのに、それを悪いことだと考えてぶち壊すとは……。相互関税の発表時は株価も下落しましたが、実際に発動されれば回復基調になるのではないかと思っていましたが、そこからさらに下落するという完全に想定外のことが起こりました。ピークからは1(億円)以上資産が減りましたね」
そのうえで、今後の展開については冷静にこう話す。
「正確に予測するのは非常に難しいと思うので、こういう場面では一般的な中長期投資家は下手に動かないほうがいいでしょう。ただ、短期的には落ち着かない展開が続くと思いますが、歴史上、下がり続けて戻らない相場はありませんでしたから」