不動産売却の方法には一長一短がある(イメージ)
不動産販売において「売り時」は極めて重要である。「今売れば5000万円だが、現在のマンションの高騰ぶりを考慮すれば半年で5500万円に上がるかもしれない」と欲を出したくなるが、こうした考えに不動産仲介会社・I-House代表取締役社長の石黒雅規氏は警鐘を鳴らす。理由は、ことマンション売却においては金額に留まらぬ重層的な判断材料が存在し、その視点がないと、結果的に「最高値」で売り抜けられないこともあるからだ。
石黒氏の著書『都心の高級マンションを最高値で売却する技術』(クロスメディア・パブリッシング)より、一部抜粋・再構成して紹介する。【都心の高級マンションの賢い「買い方・売り方」・全3回の第2回】
売却価格そのものがゴールではない
不動産を売却するとき、多くの人は「いくらで売れるか」に意識を集中させます。それは当然のことで、売却価格は売主にとって最もわかりやすい成果です。しかし、一定の売却価格そのものがゴールではありません。売却は、資産を現金化し、その資金を次の目的に振り向けるための通過点です。住み替えの原資、事業資金、相続対策としての資産整理、借入返済、金融資産への組み替え、老後の安心確保、次の不動産取得の一手、売却後の資金使途——これらが明確でなければ、高く売れたとしても、その意思決定が本当に成功だったのかは判断できません。
たとえば会社を売却するとして、価格だけが焦点で終わることはなく、そのあとの資金を何にどのように使うのか、そこまで含めてクリアになって、はじめて売却の意味が決まるのと同じことです。
だからこそ、売却前に考えるべきは、いくらで売るかだけではありません。いつ売るか、売ったあとに何をするか、その資金をどこに置くか、保有を続けた場合と比べて、どちらが5年後、10年後の自分にとって納得できるのか。売却価格だけを追うのではなく、売却後の資産戦略まで考える。これが、不動産売却を経営判断として捉えるということです。
