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にしおかすみこが語る認知症の80代母と向き合う日々 「自分が元気でいるために“逃げる”ことも大切」

周りの人に笑ってもらえると気持ちが楽になる

にしおかさんは千葉県内の実家に両親と姉と4人暮らし

にしおかさんは千葉県内の実家に両親と姉と4人暮らし

 にしおかさんが最近、戸惑っているのは、母親の認知症が進み、同じことを何度も繰り返すスパンが短くなってきたことだという。

「私がお風呂に入っているときも、お風呂場の外から磨りガラス越しにたわいもないことを言うこともあれば、私が作り置きを作っているときに『結婚できないねえ』『一生独身かい?』と心配してくることもあります。

『ううん』などと生返事をするのですが、少し経ったらまた同じ話の繰り返し。認知症がどんどん進行していくと、しゃべることが乏しくなってくるとも聞いたりするので、たくさんしゃべれるということは、まだ大丈夫なのかなあ、と今がとても大切な時間に思えたりもして複雑です」

 認知症のせいとはわかっていても、1日に何度も繰り返されると、聞き流すにも限界があり、しんどくなる。身近にいるマネージャーや友人らに、愚痴を聞いてもらう。それがにしおかさんにとって、乗り越える力になっているようだ。

「私を含め家族みんなが年をとります。この先の一家のことを考えると、絶望的な気がしてしんどくなることもあります。そんな愚痴を私が深刻な顔で話すと、マネージャーさんは爆笑してくれます。『よく笑えるな!?』と想ったりもするんですけど(笑)、明るく受け止められると、私は気持ちが楽になって一緒に笑えるんです。私の性格を理解してくれていて、とてもありがたいです」

 母は私が実家に戻ったとき、最初は何度も『出て行け』と追い出そうとしました。私に、家族のことは気にせず、好きなことをして生きてほしい、と願ってのことだと想います。母は姉の将来をすごく心配しているので、以前、『私が面倒みるよ』と言ったことがあるのですが、『そうなるから、だから嫌なんだ』と。私のことも本当に大事に思ってくれているのだなと感じます」

 にしおかさんは、もし自分が壊れそうになったら、いつでも逃げ出そうと考えているという。

「イライラするのは疲れているときで、自分が元気だったり楽しかったりするときはそうなりません。気持ちが病んだら、誰も幸せにできません。だから自分の健康を最優先し、自分が楽しいことを一番にやるようにはしています。“逃げる”ということも、私にとっては自分が元気でいるための選択肢の1つです」

 それでも、まずは実家に戻り一緒に暮らすことを選んだのには、経済的な理由があった。

後編につづく

【プロフィール】
にしおかすみこ/1974年11月18日、千葉県生まれ。2007年、お笑い番組『エンタの神様』(日本テレビ系)で女王様キャラのSMネタでブレイク。2008年、自叙伝『化けの皮』(ゴマブックス)出版。2009年、春風亭小朝に入門し、“春風こえむ”の高座名で落語に挑戦。現在は生活情報番組『なないろ日和!』(テレビ東京系)などでリポーターとしても活躍する。趣味のマラソンでは2019年、3時間05分03秒でフルマラソンを走りきった。最近はベジタブルカービングにハマり中。
取材・文/中野裕子 写真/山口比佐夫

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