京急蒲田駅の東には国道16号線が走り、京急空港線と立体交差している(2025年7月筆者撮影)
渋谷駅まで1本の電車で移動できるように
1980年代から検討されてきた蒲蒲線の計画が、再び現実味を帯びて動き出してきたのはこの数年のことだ。2022年に大田区と東急が出資して蒲蒲線を建設するための第3セクター「羽田エアポートライン」を設立。同社は2025年10月に国土交通省から事業認可を受け、新線の建設に着手した。新設される蒲田新駅(仮称)はJR・東急蒲田駅の地下に造られる予定だ。将来的には、京急空港線へと乗り入れて羽田空港まで直通することも念頭に入れている。
建設計画を具体的にすすめられる段階になったことで、地元・大田区も蒲蒲線の実現に向けてアクセルを強める。2025年度には区内各所で開催されているイベントにブースを出展。直近では2026年3月29日に大田区民プラザで開催された「第十五回 二十一世紀桜まつり」にもブースを出展し、蒲蒲線の周知を図りつつ機運の醸成を図っている。
大田区の鉄道・都市づくり課の担当者は次のように説明する。
「蒲蒲線は第1期と第2期に分けて工事を進めますが、第1期工事では東急多摩川線の蒲田駅ホームを地下に移設して、線路を京急蒲田駅まで延ばします。現在、東急多摩川線の電車は基本的に多摩川駅―蒲田駅間を行き来するだけですが、工事完了後は京急蒲田駅まで移動できるようになります。そのうえ、渋谷駅発着の東横線が多摩川線へと乗り入れることも想定しています。つまり、渋谷駅から蒲田駅まで東横線と多摩川線を介して一本の電車で移動できるようになるのです」
近年、東急は100年に一度の大規模再開発と銘打って、渋谷の大改造を進めてきた。大きく変わる渋谷の核は当然ながら渋谷駅になるが、渋谷駅と蒲田駅が一本の電車で移動できるようになれば、活性化の起爆剤になることは間違いない。
後編では、「蒲蒲線」誕生で活気づく一方、蒲田が空港への単なる通過駅になる「蒲田飛ばし」への懸念についてレポートする。(後編に続く)
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取材・文/小川裕夫(ライター)
