近々、団塊世代の不動産相続の問題が顕在化してくる(写真:イメージマート)
首都圏(1都3県)における新築マンションの販売価格は高騰を続け、留まる気配がない。不動産経済研究所の調べによれば、2015年の平均価格5518万円、平米単価77.9万円は、2025年に9182万円、平米単価139.2万円と10年で66.4%も上昇している。新築価格に引きずられ中古マンションの価格も右肩上がりで、「買うなら今しかない」と焦る購入希望者も多いという。だが、『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』などの著書があるマンショントレンド評論家の日下部理絵氏は、「近い将来、中古マンションの値上がりが期待できなくなる」と見ており、警鐘を鳴らす。
「近年の不動産価格の急上昇で、『もし10年前に買っていれば、今ごろは…』と嘆く声をよく耳にします。では、今買えば10年後に同じような値上がりが期待できるかといえば、非常に厳しいと言わざるをえません」(以下、「」内は日下部理絵氏のコメント)
2030年、団塊の世代が全員80歳超に
「今、“団塊の世代”の一番下が70代後半なので、これから4~5年後、つまり2030年頃には全員80歳を超えることになります。人間は寿命には勝てません。内閣府の調査によると、団塊世代の86.2%が不動産を所有していて(高齢社会白書平成25年版)、その物件を遺族が相続していきます。家を相続した人たちのなかには、遺産分割や相続税の支払いなどの理由で、早く現金化したい人が出てきます。そうした相続物件が大量に中古市場に流れ込んでくるのです。供給過多になれば、選ぶ側の選択肢が増え、価格競争が起こります」
相続税には申告・納付期限があるので、現金化を急ぐ人は、相場よりも安い価格で売りに出すこともある。投資物件で賃貸に出していたマンションを相続した場合も、相続人が管理の負担を嫌えば売りに出される。そうした取引が積み重なっていくと、中古の在庫がだぶつき、価格の下落を引き起こす要因になりうるという。
「これまで中古マンションの値上がりは、近隣に新築マンションが建ち、新築と中古の間に大きな価格差が生まれ、それを埋めるように中古相場が押し上げられることで起きていました。
ところが、建築資材や人件費、地価の高騰で、新築マンションの価格は上がりすぎてしまい、実需層には手が届かない水準に達しつつあります。デベロッパーは、建てても高すぎて売れないため供給を絞っています。不動産経済研究所の調べでは、2025年の新築マンション供給戸数は2万1962戸で、10年前の2015年(4万449戸)と比較すると、およそ半分の水準にまで減りました。新築が建たなければ、中古市場での競争になります。それどころか、近い将来、中古価格が下がっていくと、それに引っ張られて新築価格が下がる、あるいは、上げられなくなるという、今とは逆の現象が起きる可能性もあります」
中古と違って新築の場合、建築資材や人件費、用地取得に原価がかかっていて、あまりに安く売ればデベロッパーは赤字になる。それでも価格は下がるのだろうか。
