住まい・不動産

欠陥マンション 3800万円だった最上階の資産価値が50万円に

 大覚側は、調査で発覚した1000か所以上に及ぶ瑕疵の是正を求めたが、施工した南海辰村建設は「瑕疵はない」と主張し、両者の争いは2010年に法廷へ持ち込まれた。別の住民はこう話す。

「売主は希望者に契約解除の提案をしましたが、私たちはマンションに残ることを決めました。売買代金が戻っても、登記費用や不動産取得税など数百万の諸経費が無駄になるからです」

 その上でこう続ける。

「問題発覚後、命にかかわるようなトラブルもありました。14階に設置された重さ50kgの防風壁4枚が落下したこともあります。裁判が長引いて先行きが見えない中、あるご夫妻は転居を巡って対立し、離婚に追い込まれました」

 新築分譲時、3800万円だった最上階の部屋の資産価値は、いまや50万円にまで暴落したという。前出の男性住民が語る。

「裁判が続いている以上、買い替えにも踏み切れない。これだけ資産価値が落ちた家に、この先まだ20年以上もローンを返し続けねばならない。“いったい、どうしてくれるんや”という怒りと不安しかありません」

 2013年の一審では大覚側が敗訴したものの、今年4月の二審では逆転判決となり、南海辰村建設に解体費用など約15億円の損害賠償が命じられた(南海辰村建設は上告)。仮に建て替えるにしても、多くの問題が立ちはだかる。

「資材や人件費の高騰もあり、実際に解体再築するとなれば最低でも30億円はかかる」(前出・山下社長)

 また、南海辰村建設は「弊社は当該マンションに瑕疵はないと考えている。最高裁上告中であり、司法の判断に委ねる」(総務部)と回答。どのような決着となるかはまだわからない。同マンションを実地検査した日本建築検査研究所の岩山健一氏が指摘する。

「程度の差はあれど、こうした物件は全国にゴマンとある。建築業界には元請けがあり、下請けが何次も入り、職人を使うといういくつも重ねられた上下関係があるからです」

※週刊ポスト2019年12月6日号


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