住まい・不動産

二世帯住宅の悲劇 老親が「元々俺たちの家だ!」で家族間ギスギス

メリットがあると思って選択した二世帯住宅だったが…(イメージ)

メリットがあると思って選択した二世帯住宅だったが…(イメージ)

 高齢になったところで、それまで住んでいた広い住まいから、交通至便なマンションやアパートへの“ダウンサイジング”を検討する人も多いだろう。しかし、物件探しが難航するケースもままある。そうなれば、「子供と同居」という選択肢が出てくる。

 政府は「三世代同居」を推奨し、同居対応改修工事を行なった場合、工事費の一定額をその年分の所得税額から控除できる特例を設けている。

 厚労省の国民生活基礎調査の概況(2019年)によれば、全国の「三世代世帯」は148万8000世帯で、全体の13.3%。この数字をもっと高めて家族で支え合うことで様々な負担が軽減されるというロジックだ。

 実家を売却したお金で二世帯住宅を建て、子供のいる息子や娘夫婦と同居すれば親も子も安心、に思える。しかし、ここには落とし穴がある。15年ほど前に親と同居を始めた兵庫県在住の50代男性が話す。

「実家を二世帯住宅に建て替えた時、子供はまだ幼稚園。両親も70前後で元気だったので、“子供の面倒を見てもらえるし、家事も分担してもらえるから楽だ”と思っていました。でも、思い通りにいったのは最初だけ。母は10年前に転倒で骨折してから足が不自由に。父は家でゴロゴロするだけで、『もともと俺たちの家だ』と言わんばかりにふんぞり返っている。おかげで妻はいつも不機嫌だし、子供たちも祖父母を敬遠し、我が家はギスギスした空気が流れています。二世帯住宅にしたことを心底後悔しています」

 介護アドバイザーの横井孝治氏が言う。

「二世帯住宅を手に入れて、“キレイな家になった”と喜べるのは最初の数か月だけというケースは珍しくありません。折り合いがつかなくなり、『出て行きます』『老人ホームに入ります』と言いたくても、二世帯住宅を建てた時に多くの財産を投じていたら次の動きが取れない。親子で憎み合ったまま一緒に暮らすことになる。不自由な状況に陥らないよう、事前によく話し合い、価値観をすりあわせておかないと、大失敗につながります」

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