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通行の邪魔をする犬を注意しない飼い主、法的に問題は? 弁護士が解説

 人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的とする動物愛護法では、動物の飼い主は、「動物が人の生命、身体もしくは財産に害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない」と定めています。

 犬が吠えるのは動物としての習性ですから、完全にやめさせることはできませんが、しつけることはできます。けん引している犬が他人の通行を邪魔するほど吠えるのを叱ったり、遠ざけるといった対応をしないのは、「人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない」という飼い主の努力義務に違反しています。しかし、努力義務違反には法的な制裁を伴いません。

 大阪府の動物愛護条例では 動物の飼い主に「鳴き声等により、人に不快の念を生じさせないこと」や「人に迷惑をかけないこと」の遵守義務を課していますが、吠えたことによる制裁はありません。

 とはいえ、飼い犬が繰り返し他人に吠えかかって、迷惑をかけるのを制止しないのは、条例に違反していることに間違いありません。まずは、飼い主に条例に違反していることを穏やかに指摘して、注意を促してみてはいかがでしょうか。

 それでも聞く耳を持たず、相変わらず、犬に吠えさせ、そのため通行できないのであれば、道路の通行の著しい妨害になるとして警察に相談することも可能です。

【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。

※女性セブン2021年12月16日号

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