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いまの日本はコロナ・ウクライナ・円安の「インフレ三重苦」 円高回帰への期待は薄い

「インフレ三重苦」はいつまで続くのか(イメージ)

「インフレ三重苦」はいつまで続くのか(イメージ)

 急激な円安によって一時1ドル=150円を超え、日本円の価値はわずか半年で30円近くも下落した。一時的に円高方向に動いているようにも見えるが、日本の国力そのものが低下したことで、“魅力のない国・日本”の通貨が売られて価値が下がり、他国から見向きもされなくなったということだ。

 実際、いまの日本には、エネルギーも食料も、何もかも足りていない。割を食うのは当然、私たち日本国民だ。

 インフレが起これば、物価の上昇とともに賃金が上がるのが世界の常識だ。だが、日本は、世界でも唯一の「30年間賃金が上がらない国」。国税庁の民間給与実態統計調査では、日本のサラリーマンの平均年収は、ピークだった1997年を一度も上回っていない。経済評論家の加谷珪一さんが指摘する。

「日本のインフレ率が低いのは、コロナ対策の影響などではありません。単純に、日本経済だけが30年間著しく不景気で賃金が上がらないから、物価も上がらないだけなのです」

 世界経済に詳しい、リーガルコンサルティング行政書士事務所代表の浅井聡さんによれば、日本のデフレの発生源は1990年ごろのバブル崩壊だ。

「当時、世界一の技術と人材を擁していた日本の製造業は、バブル崩壊による国内消費の冷え込みに対処するため、海外への輸出に力を入れました。その結果、強烈な円高を招き、それに対処するために部品を輸入品に頼るようになり、国内で産業の空洞化が起こりました」

 こうして、日本国内での生産性が向上しないまま、そこで働く人たちの賃金が上がらない状態が続いている。

 振り返ると、アベノミクスで一時上向きになった2018年頃が、日本の景気の“最後のピーク”だったと、明治大学政治経済学部教授で経済学者の飯田泰之さんは言う。

「それが2019年の消費増税でぶち壊しになり、そのままコロナ禍に見舞われた。その上での増税はまるで“嵐の中で窓を開けたような状態”です」

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