キャリア

命がけの荒行を終えた比叡山大阿闍梨が説く「定年後をよく生きる知恵」

●長く健康を保つには、身体が資本です

 コロナ禍では外出や人と接する機会は減り、誰もが年齢にかかわらず、「定年後の生活」に近い経験を強いられた。その経験を踏まえ、光永師は改めて「身体が資本」だと語る。

「定年前、毎日定時に出社するルーティーンには、それなりの運動量が含まれています。駅まで歩き、満員電車の中で立ったまま移動する。これら日常の負荷がいっさいなくなったとき、どれだけ自覚的に運動量を維持できるのかが、心身の健やかさを左右します。

 せっかくなので、具体的に数字を出しましょう。サラリーマン時代と同じリズムで週に5日間、通勤時間と同じ程度、たとえば毎回1時間30分は歩くと決めてはいかがでしょうか。ジョギング程度に走る場合は3日に1度、1時間(時速8km)を目処にしていただければ、ベルトの位置は変わらないでしょう。こうして身体の健康を保つことで、外出を億劫に感じることもなくなり、心の健康も維持できます」

妻、友人との新たな関係性

●趣味の場は「勤め上げる」必要はありません

 定年後、趣味をつくるためにスポーツやゲームのサークルに入ったものの、「勝ち気にはやるばかりで楽しめない」「人間関係がストレスになる」と悩む人も多い。

「そんなときは、すぐにでもそのサークルを辞めて、別の同好会を探しましょう。ビジネスではありませんので、『石の上にも3年』は無用。定年後の趣味は負けても良いですし、人間関係に悩めば場所や環境を変えても良いのです。肌の合わないメンバーが大手を振って歩くサークルで頑張ってもストレスが増すだけです。他人の中身を変えようとするよりも、あなたが場所を変えたほうが早い。快適な居場所に行きあたるまで、ふらふらし続けるのも、退屈しのぎになるのではありませんか」

●「家事仕事」に定年はありません

 趣味も良いが、仕事も続けたい──そんな人には、家事への積極的な参加を薦めるという。

「夫は会社勤め、妻は専業主婦という形が多かった団塊の世代前後の皆さんにとって、定年は『新たな就職』です。

 長年、夫が家の外で働いている間、妻もまた家の中で働いていました。そう認識することこそ、定年後も妻との関係を良好にする鍵だといっても過言ではないでしょう。会社員には定年がありますが、家事仕事には定年がありません。夫が新たな仕事として家事を分担することでしか、『妻の定年』は生まれないのです」

 夫がまず引き受けるべき家事は、掃除だという。

「拙著『心を掃除する』にも記しましたが、ちょっとしたコツを押さえるだけです。毎日30分の掃除で、お部屋も妻との関係もきれいに整います」

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