キャリア

命がけの荒行を終えた比叡山大阿闍梨が説く「定年後をよく生きる知恵」

●「死」に囚われ、極端に考えてはいけません

 人生の終わりを意識し始めれば、必ず「死」の恐怖が付きまとう。光永師も「千日回峰行を満行したからといって、死の恐怖を克服できるわけではございません」と語る。

「『自らの死期を悟っておられるか』とのお尋ねには、『いつ死ぬのかは分かりません。明日、寿命がきたとしても後悔のないよう、今日を生きております』とお答えしています。そう申し上げると、明日死んでも後悔しないために、ただちに乱痴気騒ぎや贅沢をして有り金を使い果たさないと……と焦る方もいらっしゃいます。

 けれど、定年された皆さまは、明日亡くならないどころか、20年、30年と元気で過ごせるかもしれません。太く短くも、細く長くも、極端な考え方です。日々の生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)をほど良く持続し続けることこそが、死の想念に囚われない秘訣かもしれません」

【プロフィール】
光永圓道(みつなが・えんどう)/1975年生まれ。1990年に15歳で得度受戒。2000年に延暦寺一山・大乗院住職に。2009年、千日回峰行を満行し北嶺大行満大阿闍梨となる。現在は、大乗院住職、覚性律庵住職。新刊『比叡山大阿闍梨 心を掃除する』が発売中。

※週刊ポスト2023年1月27日号

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