マンション価格の急激な上昇が始まった背景とは(写真:イメージマート)
都心部の不動産価格の高騰が注目を集めている。特にここ数年は、「買いが買いを呼ぶ」とも言うべき流れができているように見える。超低金利や円安など、様々な要素が指摘されているが、そこに見逃されているものがないか。住宅評論家・櫻井幸雄氏がレポートする。【前後編の前編】
「外国人」よりも多い「法人」の所有名義
不動産経済研究所の発表によると、2025年、東京23区内の新築分譲マンションの平均価格(70平米換算)は1億3613万円に達した。1億円を大きく超えているので、普通のサラリーマンでは手が出ない価格水準である。
そこから、「こんなに高額になって、いったい誰が買っているんだ」の怨嗟の声が上がっている。
実際、誰が買っているのか。
よく聞くのは「外国人、特に大陸の中国人が買っている」というもの。「日本の富裕層」と「世帯年収が2000万円を超えるパワーカップル」、そして「転売目的の投資家」も高額化したマンションを買いあさり、価格を押し上げた“犯人”として槍玉にあがりやすい。
本当にそうだろうか。
たとえば、「外国人が買っている」ことを証明するため、都心超高層マンションの登記簿を調べるという調査はすでに複数のマスコミ、政府の調査機関によって行われている。国土交通省の調査では東京23区のマンションを海外居住者が取得した割合は昨年1~6月で約3.5%。湾岸エリアの人気タワマン全戸の登記を調査したメディアの報道では外国人所有者は約1割だった。
一方で、法人名義の登録が多いことも複数の調査であきらかにされている。たとえば、中央区にある大規模マンションでは法人名義が約2割に達するなどの調査がある。
法人――つまり、会社名義で所有される都心マンション住戸が少なからずあるのだ。
そこから、中国人が実質オーナーの会社名義で都心マンションが購入されているのではないか、と疑う人もいる。あくまでも、「中国人がマンション価格上昇の原因」ということにしたいのだろう。
しかし、ここで注目したいのは「法人の購入が多い」という事実。オーナーが中国人かどうかはさておき、「個人ではなく、会社としてマンションを購入する」ケースが近年増えているのだ。
