筆者も舟券を買ってみた
一日の何時間かをなんとかして有意義に過ごしたい
その中の一人のある70代男性は、「来週木曜日の14時から、◯◯証券で株のセミナーがあるからお前も行かないか? オレと一緒だったら入れるぞ」なんて誘ってくれる。とにかく何らかの予定を入れ、そこに自分と気の合う人間と一緒に過ごしたいと考える。
これにも一緒に行ったのですが、セミナー終了後は「おい、生ビールおごってやる!」なんて、カラオケスナックに誘われました。こうした時間は、彼にとって暇つぶしであると同時に、有意義な時間なんですよね。元々ホテルマンとしてバリバリ働いていた人が定年を迎えて暇になった後に、こうした時間の使い方をするようになったわけです。
正直、暇つぶしなら、ボートレースやパチンコにカネをつぎ込むよりは、自宅でNetflixやアマゾンプライムで好きな映像コンテンツを見た方が、結果的に安上がりになると思いますが、この手の人々は根っから人好きで、社交的な人々です。
だから、「外に出れば誰かと会えるかな」とばかりに外へ出て、パチンコ・ボートレースへ行く。かくして節度を持ってギャンブルを楽しむことは、今後ますます増加する高齢者にとって、QOLを高める、意義のある活動になるのではなかろうか。
私のように、早い時間から開いているバーで働く人間からすると、ガチで「暇な高齢者問題」というものを感じます。本当に高齢のお客さんは多い。この方々は一日の何時間かをなんとかして有意義に、そして誰かと共に過ごしたいと考えている。
我々現役世代がそこに付き合うことが、もしかしたら高齢者のQOL向上に繋がるほか、生きる気力を持つきっかけになるのでは。とにかく最近は、バーにやって来る高齢者が楽しそうにする姿を見るのが嬉しくて仕方がありません。「オレは早く死にたい」なんて冗談交じりに言っていますが、まぁ、長生きしてください。そして、病院に行くよりも、飲食店に来て、経済を回してください、なんてことも素直に思います。
【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は稲熊均氏との共著『ウソは真実の6倍の速さで拡散する』(中日新聞社)。
