“駅近神話”が通用しない高級住宅街も少なくない(写真:イメージマート)
東京23区の中古マンション市場では、「駅から近いほど資産価値が高い」という考え方が一般的だ。不動産ポータルサイトでも「駅徒歩10分以内」は人気の検索条件であり、同じエリアであれば駅から遠い物件ほど価格が下がる傾向がある。しかし、東京の高級住宅街を見渡すと、この常識が必ずしも当てはまらない現実が見えてくる。港区や渋谷区、文京区といった都心部の高級住宅街には、最寄り駅から距離があったり、坂道が多かったりと、決して利便性が高いとはいえないエリアが少なくない。それにもかかわらず、こうした街は長年にわたって都内有数の高級住宅街としての地位を保ち続けている。
実際、港区の麻布、文京区の小石川、渋谷区の松濤、世田谷区の成城、豊島区の目白など、東京を代表する高級住宅街の多くは高台に位置している。毎日の通勤や買い物を考えれば、駅まで坂道を上り下りしなければならない場所は、必ずしも住みやすいとは言い難い。では、なぜ東京の高級住宅街は、あえてこうした場所に形成されてきたのだろうか。『東京23区中古マンション格差の地図帳』(宝島社)の監修者で、不動産ジャーナリストの榊淳司氏は、その背景には江戸時代から続く東京の都市構造があると指摘する。
