ゴールドマン・サックスのアセットマネジメント部門で不動産ファンドの運用に従事し、独立後に総資産30億円を築いた小原正徳氏
暴落を待っていても、買えない
これから下がるのか。消費者にとっての最大の関心に、小原氏の答えは明快だった。
「少なくとも、価格が自然に急落する理由は、今のところ見当たりません。下押し要因として考えられるのが金利上昇ですが、2026年6月に政策金利は1.0%へと、31年ぶりの水準まで上がりました。しかし、その代わりに登場したのが50年ローンや残価設定ローンです。審査自体は『返済額が収入の3割』というルールで変わらないから、金利が上がった分、返済期間が35年から50年に延びたり、残価を5割残せたりするほうが、負担を引き下げるインパクトは大きい。結局、金利上昇でさえそこで吸収されてしまうんです」
残るのは、価格を押し上げる要因ばかりだという。
「建築費は上がる、円安によって海外から見た日本の不動産は割安に見える。都内のマンション価格は株価を後追いする、というのは不動産業界における定説ですが、株がこれだけ上がっている以上、そう簡単に総崩れはしないですよね」
ただし、足元では市場に小さな変化も出始めている、と小原氏は言い添える。
「投資家や業者の間では、タワマン市場で、転売業者による投げ売りや、売却益狙いで購入した契約を手付放棄で解除する動きが出始めている、という話も出ています。ただ、それが一時的なものなのか、明確な下落トレンドへの転換なのかは、今後数か月を見極める必要がある。実需に支えられた部分や、1棟の収益物件には、まだ下落の兆候は見られませんしね」
それでも暴落を待つ人へ、小原氏はこう指摘する。
「価格が下がるのは、融資がつかなくなった時です。リーマンショック級の何かが起きれば、不動産も道連れで下がる。でも、そんなことがあった時は、不動産なんてそれどころではないという状況になってしまっている場合がほとんどです。『下がってから買おう』と思っている人ほど、いざ下がった時に融資がつかなくて買えないんですよ」
だから、と小原氏は続ける。自然現象として下がるのを期待できない以上、いま住む家を探す人は、タイミングを測るよりも自分のライフステージに従ってベターな選択をするしかない、というのだ。
では、具体的にどこに住むのがこれからの時代の最適解なのか。後編記事では、小原氏が考える“不動産の現実解”について、詳しく解説する。
▼▼▼後編記事▼▼▼
【つづきを読む→】「23区のタワマンが5000万円で買えた時代が異常」潮目を迎える不動産の現実解とは?「もう東京は庶民が住む街ではない」
【プロフィール】
小原正徳(こはら・まさのり)/東京大学卒業後、時給1000円の清掃バイトから投資家を志す。不動産鑑定士。EYグループ、ゴールドマン・サックスのアセットマネジメント部門で不動産ファンド運用に従事し、2016年に独立。総資産30億円、純資産10億円を構築。「不動産アカデミー」を主宰し、延べ500名以上を指導。著書『世界の超富裕層がしている「最初の1億円」の作り方』(KADOKAWA)がAmazonアメリカの世界経済部門で1位を獲得するなど話題に。
世界の超富裕層がしている「最初の1億円」の作り方

