ライフ

実家暮らしを続けた40代独身男性が母親に涙ながらに感謝されたワケ

 ひとまずSさんは実家暮らしを続けていたが、さらなる悲劇が襲う。今度は母親が病気に罹り、治療のために通院の必要が生まれたのだ。実家は駅から遠く、母親は免許がないので、Sさんが病院まで送り迎えをするか、タクシーに乗るかの二択になり、どちらにしても体力的にも経済的にも負担は大きかった。実家は母子2人で暮らすには広すぎたこともあり、Sさんは引っ越しを決意するが、ここでまたしてもショッキングな事実が判明する。

「バブル期に父が大枚をはたいて買った築20年超の実家ですが、ついた売値は買った額の8分の1程度でした。最寄り駅からバスに乗る“駅バス物件”だったため、査定額は大きく下げられることになったようです」

 期待した額より大幅に低い売却額にガックリしたSさんだが、ここで男気を発揮する。自宅を売却したお金に自分の貯金を足して、最寄り駅の駅前に出来たマンションをキャッシュで買い、そこで母親と暮らすことにしたのだ。駅から遠い実家は、ゆくゆくは売るに売れない“負動産”になることは明らか。実家の売値は低かったが、ダウンサイジングを図れた上に、利便性が高く、確実に資産となる住まいを手に入れたのだ。

「私がマンションを買うだけの貯金を貯められたのは、もちろん実家暮らしだったからです。手取りが30万円に届かなくても、月に5万円程度は貯金出来ましたし、ボーナスにはほとんど手を付けなかったので、同年代にしてはかなりの貯金がありました」

 Sさんが「マンションを買おう」と言うと、母親はお金のことをたいそう心配したが、「心配しないでも、そのぐらいの金はある」と言い、通帳を見せると、母親は感激のあまり泣き崩れたのだとか。Sさんは、

「もし自分が一人暮らしを続けていて、貯金がなかったら、母親の面倒やら何やらはどうなったことか……。結局、親が『自立しろ』と言い続けたのは、“そういうものだから”“世間体があるから”というぐらいの理由なんですよ。意地でも実家を出なくて本当に良かったです」

 と、しみじみ語る。貯金できた最大の要因はSさんが無駄遣いをしなかったことだが、“実家を出ないことで、余計な出費が抑えられる”というメリットは、やはり無視できないようだ。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。