住まい・不動産

2003年以降のマンション価格を検証 「いつ」「どこに」買うのが正解だったか

京都市中京区では41.4%の上昇

 今回発表した騰落率を首都圏平均の竣工年別に見ると、最も損した年は2008年のリーマン・ショックの年で、マンション価格が高かった時期である。この年に竣工したマンションは平均で11.2%値下がりしており、2018年までの全体と比べて最も悪い。しかし見方を変えれば、既に竣工から10年も経っているのに、11.2%しか下落していないとも言える。

 もし、賃貸に住み続けた場合、毎年物件価格の約4%相当の家賃を支払わなければならない。10年で物件価格の約40%もの現金を失う計算だ。マンション購入であれば、住宅ローン減税などでローン残高の一部が所得税から控除されるが、賃貸で支払った家賃は絶対に戻ってくることはない。もちろん、持ち家の場合は、税金や維持費もかかるが、それを差し引いてもメリットは大きいと言えるだろう。

 こうした状況が生まれている背景にあるのは、やはり金融緩和だ。2023年の黒田東彦日銀総裁の任期まで金融緩和は続くと思われるが、その中で早く買った者から得をしていると言える。さらに、より値下がりしにくいエリアにマンションを購入していたら、プラスの幅はさらに大きくなる。

 都区部以外の首都圏の平均騰落率も見ておこう。都下では武蔵野市、小金井市、三鷹市がマイナス0.9~2.1%と比較的変動幅が小さく、上位3位を占めた。神奈川県では、横浜駅のある横浜市西区が20.7%、川崎駅のある川崎市幸区と武蔵小杉駅のある川崎市中原区が9.4%と値上がり率トップ3だった。埼玉県では、さいたま市大宮区、浦和区、上尾市の3つのみが4.7~6.7%の値上がりとなり、千葉県で値上がりしたエリアは、成田市の10.7%と浦安市の2.1%のみだった。

 首都圏だけでなく近畿圏も見てみよう。値上がりの傾向としては、「いつ」は首都圏の場合と同じだが、エリアでは京都市と大阪市の中心部の値上がり幅が大きかった。京都市では、中京区が41.4%、東山区が24.3%、下京区が21.5%の値上がり率となり、大阪市では、福島区23.2%、北区21.1%、西区20.1%の順で値上がり率が高かった。大阪市は、特にタワーマンションの価格が上昇している傾向が見られた。

 こうした情報を知っているだけで、自宅は「資産」に変わる。賃貸に住んで家賃を支払った場合との金額差は数千万円にもなり、一般的な平均生涯年収が2億円と考えると、かなり大きな割合を占める。お金を増やすには、自分が働く以外に、マンションという「資産」に稼いでもらうという考え方も知っておいてほしい。

【プロフィール】
沖有人(おき・ゆうじん)/スタイルアクト株式会社代表取締役。国土交通省「住宅エネルギー性能表示検討委員会」の委員なども務める。『独身こそ自宅マンションを買いなさい 今すぐ始める「家活」で自分を守る資産をつくる』(朝日新聞出版)、『マンションは学区で選びなさい』(小学館新書)など著書多数。分譲マンションの無料会員制情報サイト「住まいサーフィン」を運営。

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