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中尾ミエが宣言「遺産は全額寄付」の落とし穴 死後に裁判となるケースも

 遺贈には“争続”を避けるほかに、大きく2つのメリットがあるという。1つは節税。2015年の税制改正で相続税の基礎控除額が「3000万円+600万円×法定相続人の数」に引き下げられ、相続税を支払う必要のある人が急増した。

「遺贈すればその分が財産総額から引かれ、相続税が節税できます。2つ目は、配偶者や子供など財産を継ぐ人がいない場合、個人や法人に遺贈をすれば、相続人がいないとして財産が国庫に入るのを防げます。寄付先の団体を選ぶことで子供の教育のために使ってほしい、市民オーケストラの活動費に充ててほしいなどの願いを叶えることができます」(曽根さん)

スムーズに遺贈を行なうためには

 ただし、遺贈がトラブルを招くこともある。

「遺言書に『全額を寄付する』と書いていても、相続人が遺留分(遺言書によっても奪うことのできない最低限保障される遺産取得分)を求めてモメるケースがあります。個人や法人に遺贈された後でも、相続人が遺留分侵害請求をすれば法廷割合の半分までは財産を取り戻すことができます。ただし、きょうだいには遺留分侵害請求の権利はありません」(曽根さん)

 個人や法人に遺贈する場合も注意が必要だ。受け取る側が個人なら相続税が、法人なら法人税がかかる。東京都の佐々木明子さん(仮名・58才)はこう語る。

「趣味の手芸サークルで20年以上、ご一緒しているかたが昨年、亡くなったんです。彼女には子供がおらず、身寄りは遠縁の親戚だけ。持病のある彼女はコロナ禍で買い出しにも行けず、私が生活の面倒を見ていました。最期は病院で亡くなったのですが、自筆の遺言書に『自宅や土地を佐々木さんに遺贈する』とあった。まったく知らされていなかったので驚きました。といっても、相続税も高額だし、家や土地を売るのも気が引けるので遺贈は辞退しました」

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