ライフ

【賃貸トラブル】在宅で看取ったら“事故物件扱い”の悲劇 大家からの損害賠償にどう対応すべきか

「在宅看取り」が事故物件扱いになるのか?(イラスト/なとみみわ)

「在宅看取り」が事故物件扱いになるのか?(イラスト/なとみみわ)

「事故物件」と認定されるにはさまざまな経緯があるだろう。では、賃貸物件の入居者が配偶者を“自宅で看取った”場合はどうだろうか。実際に事故物件扱いされ、さらには大家から損害賠償請求を受けたケースもあるという。そういったトラブルはどう解決すればいいのだろうか。実際の相談に回答する形でOAG司法書士法人代表・太田垣章子さんがアドバイスする。

【相談】
 52才のときに、持ち家を人に貸し、夫(58才)とともに賃貸マンションに入居しました。その後、10年ほどは夫婦水入らずで楽しく過ごしましたが、夫が68才のときに胃がんが見つかり、入退院を繰り返すようになりました。医師から余命宣告を受け、残りの半年は、夫の希望を叶えて自宅で療養することに。

 自宅で看取る可能性を考えて調べてみると、2015年に「介護保険法」が改正され、在宅看取りがしやすくなったんですね。亡くなって24時間以内に医師が死亡診断書を出せば、自宅で亡くなっても事件性がないとして、警察の検死が不要とのこと。検死が入ると、調書を取られたりして面倒なことになるし、警察の出入りがあると、周囲の人から事件と疑われ、余計な心配をかけてしまう。そこで、医師や看護師とチームを組み、自宅で看取るための態勢を整えることに。自治体の「在宅医療相談」の窓口に行き、在宅看取りに必要な、医師、看護師などを紹介してもらいました。

 しっかりと準備をし、夫を自宅で看取れたときは、一仕事終えた安堵感がありました。深夜だったので、医師が臨終に間に合わず、翌朝、駆けつけてくれた医師が死亡診断書を作成してくれました。その後、葬儀社が来て棺に納め、葬儀場へと運び、滞りなく葬儀を済ませました。

 夫が亡くなり、広くなった家が不要に思えてきたため、夫の死から1年後に私は退去を決めました。それを退去2か月前に管理会社に連絡したところ、

「ご主人は自宅で亡くなっていますよね。あなたが住んでいる物件は、不動産の口コミサイトで事故物件になっているんです。退去の際に損害賠償を請求させていただきます」

 と言われたのです。指定されたサイトを見ると、確かに“心理的瑕疵”の言葉とともに、部屋番号だけでなく、棺が運び出される写真まで掲載されていました。おそらく、近隣の人が隠し撮りをして、投稿したのでしょう。

 事故物件の損害賠償について調べると、数百万~数千万円にもなるとあり、とても払えません。この場合、どうすればいいのでしょうか。(64才女性・会社員)

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。